第10章 再会【分隊長ハンジさん・R18】
そのまま雨は激しくなり
二人はずぶ濡れになった。
なまえの涙は気づけば雨に溶けていた。
「とりあえず、休める場所を探そう」
そういったハンジは
なまえの腰を抱き寄せ雨の中を走った。
ハンジが足を止めた場所でなまえは瞳を見開く。
「ちょっと雨宿りには高いけど・・・・・・
うん、大丈夫。風邪ひくよりマシだよ。」
ここはなまえがいつも“特別任務”を行う憲兵団御用達のホテルだった。
ホテルへと足を進めるハンジの腕を掴む。
「ほ、他のところにしようよ」
「なんで?
この周辺に部屋を借りて休めるところなんてここしかないだろ? 」
ハンジの言葉に反論できないでいると
そのままホテルに部屋を取ってしまった。
室内に足を踏み入れると
よく見慣れた景色に足が竦む。
ハンジはタオルを持ってくると
自分も濡れているのになまえの頭を拭いた。
「全身びしょ濡れだね。
先にシャワー浴びておいで。」
どこまでも優しいハンジに
自然と涙が頬を伝った。
その様子にハンジは眉間に皺を寄せる。
「なまえ・・・・・・?」
「っ、ごめん・・・っ
私、ここにだけはハンジと来たくなかった・・・」
ハンジは唖然としている。
真実を知ればきっと幻滅するだろう。
もう仲のいい幼馴染ではいられなくなる。
「無理に話さなくていいから。」
嗚咽のせいで喋ることのできない
なまえの背中をハンジはあやす様に摩った。
すると、なまえの呼吸も落ち着いてくる。
もう隠すことは無理かもしれない。
なまえはゆっくりと口を開いた。
「私、ずっと人に言えない仕事をしてる・・・
このホテルで、ずっと・・・・・・」
ハンジの顔は見れなかった。
最後の方は消え入りそうにか細い声しか出ない。
軽蔑されると分かっていても
ハンジに嫌われることがただ怖かった。
ハンジは無言で
なまえを包み込むように抱きしめた。
いつもの男性とは違う女性特有の柔らかさに身体が心地良さを覚え、また涙が溢れ出す。
「忘れさせてあげるよ」
「え」
顎を掴まれるとハンジの顔が近づいてきた。