第10章 再会【分隊長ハンジさん・R18】
「上にはよく伝えておこう」
「よろしくお願いします」
行為が終わると男は身なりを整え始める。
なまえはその様子を布団に潜りながら眺めていた。
「なかなか良かった。
・・・・・・また何かあった時は望みを聞いてやろう」
男はたいそう下品に笑うと部屋を出ていった。
男が出ていくのを確認すると
ベッドから起き上がりすぐにシャワー室へと向かった。
蛇口をひねり水を出すと
冷水であることも気にせず膣内を洗浄する。
薬が支給されているため妊娠の危険こそないものの何度やってもこの感覚だけは慣れることがなかった。
なまえは大きく溜息を吐いた。
「・・・・・・疲れた。」
全て掻き出すと浴室の壁にもたれかかる。
排水口へと流れていく白い液体を視線で追った。
明日は非番だった。
だが、早く部屋に戻って眠ってしまいたい。
このいかにも高級そうなホテルで眠ってしまってもよかったが先程まで男と交わっていたベッドで眠るのは気が引けた。
なまえは溜息を吐くと
シャワー室から出て兵服を手に取る。
素早く着替えると憲兵団御用達のホテルを後にした。
人通りがほとんど無くなった夜道を1人歩く。
すっかり冷え切った冷たい風が気持ちいい。
「んーっ」
大きく伸びをすると
とても開放的な気持ちになれた。
開放ついでにこのまま遠くへ流されてしまいたい。
そんなことは出来るはずもない。
狭い壁の中で逃げ場などない。
なまえは自分に苦笑した。
その時、目の前から歩いてくる自分と同じ兵服に身を包んだ人物が目に入った。
こんな時間まで仕事だろうか。
どこの兵団だろう。
お互いに近づいていく人影の胸元に目を凝らす。
すれ違うスレスレの所で
目の前の人物は足を止めた。
「君・・・・・・」
胸元には調査兵団の紋章。
なまえが胸元を見つめていた視線を上げると、
そこには暫く出会うことのなかった懐かしい人物が立っていた。
「ハンジ・・・・・・」