第2章 貴方だけで充分 ★
「よく言うよ。」
「なぁに。」
「誰が暇で申し訳ないって?この資料の量で」
「…………」
「言いそうになったわ」
「ふふ…」
「…早く発表出来ればいいのにな。」
「まだいいよ。もうちょっと覚えてからにしてもらわなきゃ」
「まだ?ほんと…よく言うよ。」
表面、今、にのはゆっくり出来てる。
今年は頭から飛ばして。
アメリカ行ったり、映画の
プロモーションで慌ただしかった。
秋にはスペシャルドラマもやって。
去年の冬が忙しすぎたせいか、
今年の冬はゆっくりしたいと
ずっと言っていたんだ。
表面はゆっくり出来てた。
でも、にのの手元にはもう
次の仕事の資料が山ほどあって。
家でそれを見てた俺は…
とても休めてるようには見えなくて…
「二宮くん、これ、追加資料です。」
「あ、早いね。ありがとう」
「いえいえ。すごいですね…チラッと見たけどまったく分からない…」
「俺も訳分かんなかったよ。今もまだ怪しい」
「学生に戻ったみたいですね」
「学生の頃もこんな勉強しなかったよ!ふふ」
「あはは!」
次々、追加資料もくる。
それに、この上台本も覚えなきゃ
いけないんだから大変だ、こりゃ…
なのに。
よく言えるよ、暇だなんて。
休みは休みでも仕事してるのに。
ま…こういうところが
カッコいいんだけどね。
こういうところが好きなんだ。
「かず、帰ろ」
「うん。翔ちゃん…これ…」
「ん、貸しな」
「ふふ♪翔ちゃんカッコいい♪」
「帰ろ」
「うん♪お疲れさまでしたー」
「お先~」
「「「お疲れさま~」」」
荷物を持ってやったら
嬉しそうに笑って…
手を差し出すと甘えるように
繋ぎ返してきて…
こんな可愛いのに、
実は度胸があって男前。
すごい。
こいつと一緒にいて、
よく、思うんだ。
ただただ、すごいって。