第3章 まさきくん
収録を挟み、楽屋での二宮、大野は
ひたすら台本と睨めっこだ。
こんな光景は珍しかった。
「…うっわ…」
「なになに」
「なんでもない」
「えっ、なっが!」
「勝手に見んなよバカ!」
「え、え、すごくない?意味わかんない」
「…よく読んだら簡単だけど」
「すごい喋るね、先生…」
「…もーいいや…」
「え?やめ?」
「やめー。疲れた。」
「じゃ、おいらも♪」
「マネすんな」
「疲れた♪」
「……。まさきくん~」
台本を覗き込まれた二宮は
すぐに台本を閉じて放り出し、
斜め前にいた相葉に向かって
手を伸ばし甘え始めた。
翔「まさきくんって珍しいなぁ」
雅「なんかさっきから気に入ってんの。」
和「まさきくん…」
雅「はいはい。どした?かず甘えた?」
和「………」
雅「よし♪ちょっと!翔ちゃんどいて!」
翔「なんだよ~まったく…」
雅「ふふっ♪ぎゅー!」
和「んー」
雅「いいこ♪疲れちゃったね~休憩だね」
和「まさきくん~…」
雅「寝る?ちょっとだけ」
和「んーん…こーしてて、ちょっとだけ」
雅「ん。」
二宮は相葉に抱きしめられ、
安心したように息を吐いた。
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「ただいま…」
「おかえり!お疲れ様」
「起きてた…」
「待ってたよ。珍しく、こっちに帰ってくるの分かってたからさ?」
「…ありがと、」
「風呂入りな。待ってるから」
「うん」
二宮は昼間言ったとおり、
相葉の家に帰宅した。
「最近ね、すぐに涙が出る」
「おっさんになったんじゃないのー?」
「まさきくんは前からじゃん!」
「俺はそういう人間なの!」
「んふふ…」
「青志先生は、涙もろいの?」
「んー、冷めてるようで、熱い人。」
「だからじゃない?」
「…そっか。」
「かずも、俺に会えなくてさみしいって泣いてくれる?」
「泣きはしないよー」
「まだまだ若い!」
「んふっ…なにそれ。ふふふ」
「かわいい。かわいいよ、かず。あー、幸せ」
「…まさきくん。今日は、よく眠れそう。」
「そりゃ、よかった。おやすみ…」
「おやすみ…」
ぎゅうっと抱きついてくる二宮に
相葉は幸せを感じると同時に
二宮の疲れを感じていた。
甘えてくる二宮は可愛い。
が、いつもその反面が気になる。
「かず…がんばれ。」
そんな相葉をよそに、
二宮は幸せそうに眠りについた。
end