第29章 お隣さん
「二宮くーん、こっち押してるから先にあっち行ってきていいよ?」
「あ、まだ大丈夫よー!迎え来るんで」
「迎え?」
「うん、お隣りさんから♪」
フジテレビ。
ドラマの撮影をしているスタジオ。
人気ドラマの出演者が集まる、
夢のような場所である。
次のクールのドラマ撮影が始まり、
今のクールのドラマは撮影を終える時期。
「押してるのに別のドラマ行くとか最低だよね」
「ふはは!そんなことないよ~!パパッと撮ってサッと帰ってきてくれたらね~」
「んふふ!そうだね~♪パパッと!」
今、二宮のドラマ現場は
スケジュールが1時間も押していて
少し焦り気味なはずが、
スタッフもキャストも何故か
ほんわかとした雰囲気である。
「おはようございまーす!」
「あ、来た」
「あー、お迎え…!」
「んー♪」
「おはようございます!ちょっと借りに来ました!」
「んふふ、借りにって。」
「どうぞどうぞ!行ってきて下さい!」
「え~なんか軽い!」
「えっ、じゃあ引き止める?」
「や、それは困るからいいや」
「うん、行ってらっしゃい!」
「ん。すみません!ちょっと隣行ってきま~す!」
『行ってらっしゃ~い!!』
二宮と同じ嵐のメンバー、松本が
二宮の現場に入って来た。
今日は二宮が松本のドラマの
最終回に出演するシーンの撮影なのだ。
松本は二宮をわざわざ
迎えに来たのである。
相変わらず仲が良いなぁ、と
周りは微笑ましく見てくれる。
が、実はこの2人、
恋人同士だったりもする。
「雰囲気いいねー!」
「そう?初めての枠だから新しいスタッフさんばっかりなの。」
「あー。でも和にかかればそんなの余裕だろ♪?今日はずっとスタジオ?」
「ふふふ…うん、スタジオ。」
「飯は?もう終わった?」
「んー…みんなは今、かな?俺いないと撮れないし」
「あ…そっか。…今日いつ終わる?俺これで終わりなんだけど…」
「分かんない…でも多分てっぺんまでには…」
「ほんと?じゃぁ…」
「うん♪」
「よし!じゃ、いくか!」
「はーい」
「ふふ…」