第21章 壁ドン
「なーんもわかんね。」
「……あー。」
「え?」
「これも壁ドン?」
「ん?壁ドン?」
二宮はヘッドホンを外し、
松本を見上げた。
「今日収録で壁ドンやったの」
「へぇ。やったの?やられたの?」
「どっちも」
「ほう。興味深い。…でもこれ、壁ドンじゃなくね?」
「そ?手、ついてるじゃん」
「でも和がこっち向いてないとさ?ほら、立ってみ?」
「…おっ…」
「ね?これ、壁ドン。チュッ、」
「ン、…まさに。」
「ドキドキした?」
「いま?しないよ」
「えー。…収録は?」
「それこそしないでしょ。」
「良かった♪」
「…流行ってんだって」
「へー。でも確かに聞くかも」
「潤、やらないね?」
「和に?やってほしいの?」
「別にやってほしいとかじゃないけど…」
「じゃ、次やるときはドキッとさせてあげる」
「んー、ふふっ」
二宮は笑いながら
松本にぴょんと抱きついた。
「ふっ…そうやって、抱きついちゃったりしてないよな?」
「してないもん。あ、お姫様だっこはされた」
「はぁ?なにやってんの」
「収録でだよ?プリクラも撮った」
「面白そうな回だなぁ」
「楽しかったよ~♪」
「いつ?録画しよ」
「わかんない。聞いとくね。」
「よろしく~…って、もういいの?」
「ん?もういい。浮かんだ音入れときたかっただけ」
「はへぇ、かっけーなっ!ふふっ」
「ハミガキしよ~っと」
スルッと松本の腕の中から抜け
パソコンと、周辺の電源を落とし
洗面所へ向かった二宮を松本は
ニヤリと笑って追いかけた。
ドンッ
「…っわ」
「ふふ♪かず…先に行かないでよ?」
「………」
「逃げないなら、キスしちゃうよ?…チュ、」
「ン、…んぅ、…じゅ、…//」
「クチュ、ちゅっ…ン、はぁ……ふふっ。どう、感想は。」
「…かっこい。さすがJ」
「えー。俺が欲しい答えじゃない」
「んふっ。知ってる♪」
腕を掴み、洗面所の壁での壁ドン。
二宮の目線の先には鏡。
仕事中に使う“J”は照れ隠しだ。
「ねぇねぇ」
「潤ってこだわるよね。」
「今さらそれ言う?」
「それもそうだ。今日は寝よ~」
「はーい、おやすみ」
「おやすみ♪」