第16章 眠れない ★
「…かず……」
「…………」
「…おやすみ、」
二宮はスっと眠りに入った。
本当に眠っていることを確認すると
松本は数分後にバイブのアラームをかけ
自分の背中にあたるように
スマホを置き、少し気を緩めた。
「……かず」
「ごめん…起こした…?」
「…んーん?…ふふ…みてたの?」
「ん…みてた」
「イケてた?」
「ふふっ…ぅん、寝顔もイケメン」
「ふは…かずもかわいいよ」
「…じゅん…ほんと、寝ていいよ?」
「…かず……寝れそうにない?」
「昨日より、寝てる。いまも、ねてて、おきた」
「ほんと…?かずこそ、俺のこと気にせず寝な?」
「ん…じゅん…」
「ふふ…すきだよ、かず…ちゅっ、」
「ン、…ふふ…うれしっ//」
「ふふふ…かわいい♪」
次に松本が目を覚ますと、
二宮は眠っていた。
掴まれていた服に笑みが零れる。
眠れなくてこんなに辛い日々を、
1人で過ごしていたのかと思うと
悲しくなった。
自分は明日、昼からの仕事だが
二宮はきっと、この状態で
毎日朝から仕事に行っていたのだ。
考えるだけで、ぎゅっと
抱きしめたくなるが、
せっかく眠れている二宮の頭を
優しく撫でてその温もりを
感じながら松本はもう一度目を閉じた。
「…じゅん、」
「……ぉはよ…」
「おはよ」
「かず…♪」
「ふふ…じゅんがいたから、いっぱい眠れた」
「ほんと?」
「久しぶりに、寝た!って感じる。」
「ふふふ…よかったぁ…」
「ありがとね、アラーム…」
「え、…バレてた?」
「…だいすき。」
「おれも。ふふ…おきる?朝ごはん、食べて行けよ」
「そう、ね。」
「たまにはちゃんと食べなさい」
「はーい」
「よし。ゆっくりしてて」
「ありがとう」
そばに、安心できる人がいてくれる。
それだけでこんなに違うのかと
二宮は驚いていた。
本当に、眠れたのだ。
何度も目は覚ましたが、
松本の存在を感じると
すぐにまた眠れた。
本当に、自分は彼のことが
好きなんだなと実感した。
心を落ち着かせて、癒してくれる。
自分のために、ここまでしてくれる。
そんな人が隣にいてくれる
幸せに心から感謝し、
二宮はキッチンに立つ松本に
そっと後ろから抱きつき、甘えた。
一緒にいられて、幸せだ。
END