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短編集 MN【気象系BL】

第33章 無題




「はい、どうぞ。」
「どうも」
「なんか食べますか」
「…後でいいや」
「ん、ごゆっくり…」

バーテンダーは一礼すると、
他の客の注文を取りに行った。


「「…乾杯」」

グラスがカチンと綺麗な音を鳴らす。

「…んー、美味い」


「……はー…落ち着く…」


本音が出た、と松本は思った。
二宮はずっと一緒にいるメンバーにさえ、
本音を漏らすことはあまりない。

“落ち着く”と言って
気持ち良さそうな笑みを見せた
二宮をみて、松本もまた笑みを
浮かべるのだった。


「…なんで分かった??」
「……ま、雰囲気で」
「怖いなぁー、潤くん…ふふっ」

笑った二宮に、松本は
ついて来たのが迷惑では
なかったことを改めて感じた。



時間は進み、客も少なくなってきた。


「ふー…」
「…ふふっ…お疲れさん」
「どうもー。」

バーテンダーは二宮と松本の前に
当たり前の様に戻ってきた。
二宮にとってもそれが当たり前なのか、
普通に会話を始める。

「あ、なんか食べる??」
「んー…潤なんか食べる?」
「どーしよっかな…」
「メロンは?今日オススメ。夕張メロン」
「…ん、じゃあそれにする」
「松本さんは…」
「あ、じゃあ俺も」
「はい」

二宮はいつも、このバーテンダーの
オススメばかりを食べる。
オススメか、食べないかのどっちかだ。


「どうぞ」
「…ありがとー。…はい」
「ん、…やった♪」

二宮は出してもらったメロンの
一切れをフォークに刺して、
バーテンダーの口に近付けた。
バーテンダーも素直に食べさせてもらう。
これが2人の普通なのだ。


「あ、俺、来週水曜休みだからね」
「そっ、か…分かった」
「あ、寂しそ」
「…メロン返せ」
「もうこの辺に♪」
「ふっ…バーカ!」
「へへっ」

落ち着いたトーンでのふざけた会話。
この空間に合っていると松本は感じた。

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