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短編集 MN【気象系BL】

第33章 無題



>>side:N



「…いらっしゃい。」
「…ん、いつもの…」
「はい。」


夜中、仕事が終わって…
いつもならこんな夜中じゃ
すぐ帰るんだけど、今日は
ちょーっとだけ…飲みたい気分だった。

「どうぞ。」
「ありがと、」


静かなバー。

隣の部屋ではダーツを
やっている音が聞こえる。
たまにダーツもやるけど、
今日はカウンター席で
ひとり静かにボーっと飲んでた。


「……ふぅ…」
「…なんかあった?」
「んー…?まぁ…ね、…いろいろあるよね、あの世界にいるとさ…」
「ああ…」

ここのバーテンダーさんとは顔馴染み。
俺が唯一好きで通ってるバーだしね。
気軽に話が出来て、好きな空間だった。

「…やっぱ、ここ来るとなんか落ち着くよ」
「そりゃー良かった…」
「んふふ……もう一杯ちょうだい」
「同じの?」
「うん、一緒の…」
「……明日、休み?」
「…なんで?」
「ん?もう遅いから」
「今終わったのー…明日も仕事。」

カラカラとカクテルを作る音が
俺は好きだ。カクテルはここでしか
飲まないから、俺にとってはここが特別。

「…毎日お疲れさま。サービス、サクランボ2つ」
「…ふふ、ありがと…」


明日、っていうかもう今日か…
今日も昼前からドラマの撮影。
ほんとは早く帰って寝なきゃ
いけないんだけどね…。

こんなとこいるのバレたら
マネージャーに怒られるな…(苦笑)



「…寝ないでよ?」
「…寝ないよ。…暇そうだね」
「うるさいー」
「んふふっ…」

なんでもない会話がなにか気持ちいい…





「いらっしゃいませ」
「…同じやつを。」

ふと、隣に人の気配を感じた。
そして発せられた言葉に、
俺は後ろを振り向いた。

「…じゅん、…?」
「なにしてんの?」
「…そっちこそ…」
「ふふ、ま、いいじゃん。隣いい?」
「あぁ…」

さっきまで一緒に仕事を
していたメンバーのひとりが、
返事を聞く前に俺の隣に座ってた。


「すみません、こちら…オーダーメイドでして…」
「いいよ、作ってあげて」
「あ、…ん。」


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