第30章 絶対的信頼
コンサート中はもちろん2人とも笑顔だ。
作っている訳じゃない。
本当に笑ってる。でも…
いつもアイコンタクトが多い
2人が、一度も目を合わせない。
MCでも特に不自然さはない。
ただ、裏の着替え場所は
2人が隣同士だ。他の3人には
見えない場所だから心配だ…。
「二宮くん、大丈夫?」
「…?」
「ステージではあんな笑顔なのに。帰ってきたら顔怖いよ。珍しい」
「…マジで…?ごめんね、大丈夫。俺、笑えてる…?」
「うん、表ではにのの笑顔だよ。しんどくない?」
「ん、ありがと。元気。」
「言ってね、何でも。二宮くん支えるのが俺の仕事なんだから♪」
「…ありがとう。泣きそう!ふふ…」
「ふふ!ソロ、頑張って?」
「うん。…緊張するー…」
「大丈夫だよ。あんな練習したんだから」
「…だよね。…ちょっと潤見てくる」
「みつかんないようにー!」
「はぁい♪」
松本のソロの間、束の間の休憩。
二宮は着替え終わり、ステージの
端から松本のソロを眺めていた。
もう、自然と喧嘩していた時の
感情は薄れてきている…。
「っしょ。」
「お疲れ様~」
「ありがとー」
「今日は絶好調ですか?」
「まぁ、うん。元気だし♪」
「良かった。松本くんもなんか曇ってるように見えちゃった」
「…ん?」
「や、二宮くんがね。表から帰ってきたら笑顔が消えちゃってたから。でも元気だって言ってたし…気のせいかな」
「…そか。…今日は順調かな…」
「さっき、緊張してたよ。でも…いい声だね♪」
「うん。…ちょっと見てこよ」
「ふふ。二宮くんもさっき潤見てくるって、見てたよ♪」
「え…ほんと?」
「うん。ステージからちょっと顔出して。ふふ」
「……かわいいやつ…♪」
素直じゃない2人は、スタッフさんに
支えられ、お互いに愛おしい感情が
戻ってきていた。
ーーーーー
いつも、2人がふざける曲…
される側の二宮は
今日はこないんじゃないかと
少し気にしながらも
気にしないふりをしていた。
そんな二宮に…
「わー♪…!」
「ふふ♪……チュッ」
「!!……ふふ♪」
松本は、いつも通り後ろから手を取り…
顔を近づけてほっぺにキスをした。
それには驚いた二宮だが、すぐに笑顔になり
いつも通り松本にやり返す…
そんないつも通りの楽しそうな
2人をみた他のメンバーが
本当に安心したことは言うまでもない。