第29章 お隣さん
「和、送ってくよ。」
「…んふふ……潤♪」
「わっ…」
「…お疲れ様。頑張って早く帰るね?」
「………ふふ…ぅん、」
二宮はたくさんのスタッフが
周りにいるのも気にせず、
松本に抱き着き、耳元で松本にしか
聞こえないような声で呟いた。
「ここでいいよ、隣だし。じゃあね!」
「ん、撮影、頑張れよ!」
「うん♪ありがとう。ばいばい!」
「ばいばい!」
「お疲れ様でした~!失礼します!!」
『お疲れ様でした~!』
二宮が帰ったあとの松本には
本当に仲良しだね~!と
何も疑わないスタッフ達の声が
次々と聞こえていた。
「ただいまっ」
『お帰り~!』
「早かったね?」
「でしょ?一発OKですから♪」
「さすが!じゃあフリーターに戻って下さ~い!」
「んふふ♪はぁい!」
帰り際、二宮の現場に寄った松本。
さっきとは違い、本番中で
ピシッとした雰囲気の現場に
松本は静かにドアを閉じた。