第4章 死神編【前編】
「…怒られません?隊長のですよね?」
「良いのよ!サボってる罰だわ!!」
ゆうりは彼女の言う通り机に有る一番下の引き出しを引くと饅頭が丁度2つ入っていた。綺麗に透明なセロハンで包まれている。その間に松本は給湯室でお茶の準備をすると、執務室のソファに腰掛け目の前のテーブルにお茶を2つ置いた。ゆうりも饅頭を持って反対側のソファに座る。
「乱菊さんって、ギンと仲良いんですか?」
「仲良いというか…幼なじみね。昔っから何も言わずに勝手に居なくなったり何考えてるかわっかんないのよ。悪いヤツじゃ無いんだけどね。」
そう言って松本は饅頭を包むセロハンを剥がし口に頬張った。ゆうりは彼女が注いでくれたお茶を啜る。
「確かに、たまに何考えてるか全然分からない時有りますね…。」
「でしょ!?もっと話してくれても良いのにねぇ。あんたは何処でギンと会ったの?」
「ここですよ、ギンが入隊して来た時に私も流魂街で拾われて来たんです。」
「拾われた?」
「はい。」
ゆうりは饅頭を食べながら彼女に事の経緯を伝えた。彼女は話を聞くと何となく納得したようで、あぁ、と頷く。
「そういえば、そんな噂あったわねぇ…。美少女が十二番隊にやって来たとかなんとか。まぁあたしその時は席官でも無かったから会うことも無かったけどね。」
「そうだったんですか?」
「ギンと同じタイミングで死神になったんだもの。知ってるわ。」
暫く時を忘れゆうりと松本は市丸の話と、松本の一方的な志波に対する愚痴で盛り上がった。松本の話は昔の市丸の事から、普段の一心のサボり具合等色々な事を知れる機会となりとても楽しい時間に感じる。
まだまだ聞きたいことも話したい事もあったが、いつまでも此処に居ては卯ノ花隊長に心配を掛けてしまうとのことで、小一時間程話し込んだ後会話もお開きとなった。
「あんた、結構話せるじゃない。今度は仕事終わりに酒でも飲みながら他の女の子も誘って女子会しましょ!」
「良いですね!楽しみにしてます!」
そんな約束をひとつ交わし、ゆうりは十番隊の隊舎を後にした。
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