第2章 過去編
「霊圧調整のコツを教えて頂きたくて。夜一さんはそういうのが得意と聞いていたので…。」
「なるほどな…だが夜一様は隊長であり、忙しい身。教わるのなら他の者に……ー」
「うむ、良いぞ。」
「よ、夜一様!!何故此処に…!」
「ゆうりの霊圧が近付いていたから見に来ただけじゃ。それより、霊圧の調整の仕方ならワシよりも適任者がおる。」
「わっ!」
四楓院は何かを企んだような笑みを浮かべたかと思えば軽々とゆうりを俵の様に肩へ担いだ。突然訪れる浮遊感に驚きゆうりは四楓院の服を掴む。砕蜂は直ぐに制止の声を投げたが自由奔放な彼女がそれを聞く訳も無く瞬歩でその場を去ったのだった。
「ほれ、着いたぞ。」
「こ…ここ何処ですか…?」
降ろされた場所は随分立派な屋敷だった。辺りを見渡すとポニーテールをした少年が木刀を振っている。
四楓院は瞬歩で木刀を握っている少年へ近付くとその豊満なバストを男の顔に横から押し付けた。
「わぁ……。」
「………。」
ポニーテールの少年は木刀を振るのをピタリと止めると、明らかに不機嫌な顔になった。ゆうりは彼女の胸に釘付けになり、まだ膨らみの余りない己の胸に両手を宛てて真顔になる。
「……出たな化け猫ッ!!」
「ふははは!甘いな白哉坊!」
四楓院へ向けて思いっきり振られた木刀は彼女に掠る事すら無かった。彼女は一瞬で屋根の上に立ち馬鹿にするように高笑いを零す。それに更に苛立ったのか白哉と呼ばれた少年は四楓院を思い切り睨む。
「貴様そこから動くなよ…今すぐこの私が瞬歩で…」
「それより白哉坊、今日は客を連れてきたのじゃ。後ろ向け、後ろ。」
「客……?」
白哉は指をさされた方へと視線を向ける。すると未だにゆうりは自分の胸を気にして両手を添えたまま顔を下へと向けていた。そのやや異様な光景に四楓院はゲラゲラ笑い、白哉は怪訝そうな眼差しをくれる。彼女の笑い声に気が付いたゆうりは顔を上げた。
「何じゃゆうり、お主自分の胸を気にしとるのか!!」
「うっ……だって夜一さん凄い大きいじゃないですか…。同じ女として羨ましいんですよ…!!」
「お主はまだまだ子供じゃろう。これから大きくなるわ。なぁ、白哉坊?」
「私に振るな。」