第3章 真央霊術院編
パチリと目を覚ます。視界に映ったのは見知らぬ真っ白な天井だった。ここは何処だろう。そもそも何があったんだっけ…。ゆうりはゆっくりと上半身を起こす。どうやらベッドの上で眠っていたらしい。
「目が覚めましたか。丸一日眠っていたんですよ。」
「……卯ノ花、さん…?」
「久しぶりですね、ゆうり。怪我はもう大丈夫かと思いますが…気分はいかがですか?」
「怪我……あっ!!」
卯ノ花の一言で一気に昨日の出来事が鮮明に甦る。そうか、自分はあの後気を失ってしまったのか。それにしてもあの怪我と出血で生きてるとは、自分の生命力を褒め讃えたい。そして今背中の痛みを一切感じない辺りやはり卯ノ花の回道は素晴らしい、そう思った。
「あの、他の人達は全員無事なんでしょうか…?」
「実習に向かった生徒は全員無事だと聞いていますよ。」
「良かった…。」
もしあの場で誰かが死んでいたら悔やんでも悔やみ切れない。ゆうりは心底安心しホッと息を着く。
「もう少し休んで行きますか?」
「はい…あの、聞いても良いでしょうか?」
「…私に答えられることならば。」
卯ノ花はそっと瞳を細めた。彼女が何を聞きたいのか大方察しはつく。ゆうりは顔をうつ向け、真っ白なシーツを握り込む。
「…浦原喜助隊長と平子真子隊長は…殉職されたのでしょうか?」
「…その2人に関して私達は総隊長により一切の口外を禁じるように命令されています。」
「口外を禁じる?」
「えぇ。」
ただ殉職されたのなら守秘義務を科せられる理由など無いはずだ。それをわざわざ口止めされているということは、死んだのではなくやはり、何か事件に巻き込まれた可能性の方が高い。
「…ありがとうございます、卯ノ花さん。それだけ聞けたら充分です。」
「いいえ。そういえば、貴女を運んで来た五番隊の藍染隊長と、市丸副隊長が心配していましたよ。真央霊術院に戻る前に、顔を見せてあげてください。」
「藍染さん達が運んでくれたんですね。これから、向かってみま、す……。」
卯ノ花の言葉に何かが引っかかった。そもそも何故彼らはあんなに到着が早かったのだろう。檜佐木が救援要請を飛ばしていたのは知っていた。それから藍染達が到着したのは、どれ程の時間だった…?