第3章 真央霊術院編
市丸達は先に尸魂界へと戻った。檜佐木達の姿が見えなくなった所で、市丸の腕に抱かれる彼女を藍染はさぞ嬉しそうに見つめ片手の掌で頬を撫ぜる。
「瞬発力、判断力、1撃でヒュージホロウを仕留める霊圧の高さ…悪くない。成長したじゃないか。わざわざ防壁を破壊してまで虚を引き込んだ甲斐があったよ。」
「ほんま意地が悪いですわ。危うくゆうりが死んでまう所でしたよ。」
「それならただそこまでの少女だった、というだけの話だ。あの実験にゆうりを使えなかったのは非常に残念だったが…。」
藍染は過去執り行われた実験の様子を思い出しつつ、片手を弛緩に持ち上げゆうりの血に濡れた髪をひと房掬った。そして赤く染った箇所へと恭しく口付ける。
「もう少し様子を見てみようじゃないか。」
「…まーた悪い顔して。」
彼らの会話がゆうりの耳に入る事は無い。藍染と市丸は誰も聞いていない、聞こえないその場所でひっそりと笑みを浮かべ瀞霊廷へと戻ったのだった。
*