第3章 真央霊術院編
蟹沢の指示の元、生徒達は同じ紙を持った相手を探し始める。阿散井と吉良はどうやら同じ記号を持っていたらしい。もう1人は誰かと辺りを見渡す。
「…やっぱりこれ、そういう意味だったのか…。」
「でも3人組だろ?もう1人は…?」
「あの…。よ…よろしく…。」
「何だ、雛森か。」
「………!!」
駆け寄ってきた雛森に阿散井はいつも通りだったが、隣に立っていた吉良は顔を赤くし言葉を詰めた。そんな彼を見て阿散井はこっそり耳打ちをしながら腰に蹴りを入れる。
「浮かれてヘマすんなよ。」
「いて!」
「各自地獄蝶は持ったな?行くぞ!解錠!!」
斬魄刀を何も無い空間に突き立て、鍵のように捻ると丸い襖のような扉が開き、生徒達はソレを潜り抜けて現世へと降り立つ。
「ん…?」
「どうした?ゆうり。」
「…や、なんか……ごめん、なんでもない。」
何かが割れる音がしたけれど、気の所為だろうか。霊圧を探っても虚の気配を感じることも無い。それに防壁を張ったのは教師だ、そう簡単に破れる事もない筈。…己の勘違いだろう。そう思い檜佐木には何も告げず首を横に降った。それぞれ魂葬に向かう為グループごとに分かれ、ゆうりは率先して阿散井達の班へ近寄る。
「3人とも元気だった?あれから鬼道はどう?」
「僕はあれから威力を上げることが出来ました。一緒にアドバイスを聞けたお陰です。」
「私も精度が上がって的をしっかり当てられるようになりました!」
「阿散井君もまだたまに爆発するけど、上手くなったよね。」
「吉良てめぇ余計なこと言うな…つーかいつまでモジモジやってんだ鬱陶しい!」
「うっ!!」
「や…やめなよ阿散井くん、吉良くん!」
雛森へ好意がある吉良は同じ班になれた事が嬉しくも恥ずかしいのか手持ちの浅打をずっと出しては仕舞いカシャカシャと音を立てていた。痺れを切らした阿散井は彼の脇腹を思い切り殴る。
この3人もどうやら随分仲良くなったらしい。まるで自分と蟹沢、檜佐木のようでゆうりは笑った。
それから実習は滞りなく進み、魂葬を1人2回ずつ行う事が出来た。檜佐木は手元の生徒名簿を確認する。
「私が見てた班も皆2回出来たよー。修兵の所は?」
「こっちも今のがラストだ。そろそろ戻るか。」
「うん、結構遅くなっちゃったし…。」