第3章 真央霊術院編
ここは真央霊術院の外。ゆうり、檜佐木、蟹沢、青鹿の4人と1回生特進クラスの生徒達は来ていた。初めて行われる現世での実習に生徒達はソワソワと落ち着きが無い。しかし、原因はそれだけでは無かった。6回生から先導役として選ばれた生徒の中で飛び抜けて目立つ存在がいた。
ザワつきながらゆうりへ向けられる視線に呆れた口調で檜佐木が口を開く。
「気がそぞろになってるような奴らは置いてくからな。まず簡単に自己紹介しとくぞ。6回生の檜佐木だ。後ろの小さいのが蟹沢、でかいのが青鹿。中途半端なのが染谷。」
「えっ、中途半端…。」
「この4人で今日のお前らの先導にあたる。」
中途半端と称されたゆうりが不服そうな顔で檜佐木の背中を睨んだが彼は気にせず話を進める。すると名前を聞いた生徒達が再び大きくどよめいた。
「檜佐木ってあの…!?」
「やっぱり染谷さんだったんだ…。」
「聞いてた通りすげー美女じゃねーか…。」
「ザワつくな!私語が多いやつは置いてくぞ!!」
「あっ、桃、恋次、イヅル!今日はよろしくね〜!」
「お前もだ馬鹿。」
「いてっ…ご、ごめんつい…。」
生徒の中に混じっていた顔見知りの3人を見付けるなりゆうりは呑気に手を振った。すると直ぐに檜佐木が持っていた生徒名簿で頭を軽く叩く。雛森と吉良は控え目に振り返したが阿散井だけは直ぐに叱咤されたゆうりを笑い、こっそりと吉良へ耳打ちをした。
「何だ?有名人なのか?あの先輩たち。」
「ゆうりさんは言わずもがなだけど、真ん中の1人…檜佐木さんも凄い人だよ、有名なんてもんじゃない!
檜佐木修兵…数年ぶりに卒業前に護廷十三隊への入隊が決定してる6回生で、将来的には席官入も確実と言われている超有望株だ!!」
「へー…。」
「ちなみに…彼はこの学院の入試に2回落ちているから…そういう意味では主席合格の僕の方が才能は上かもしれないけどね…。」
「……へぇ…。」
ライバル意識を燃やしつつ自慢げに語る吉良に阿散井は冷めた目で見詰めた。ざわつきも収まり静かになったところで後ろに立っていた蟹沢が前へ出る。
「それじゃここからは3人1組で行動してもらうわ。予め教室で引いてきてもらったクジを見て。記号が書いてあるわね?同じ記号の人を探して組を作って頂戴!」