第13章 破面編(前編)
戦いにまるで興味が無さそうに宙を見詰めるワンダーワイス。いつの間にかウルキオラは居ない。ゆうりは辺りを見渡したが現世で彼の霊圧も感じない。一体何処へ向かったのか…そう考えていると突如隣に立っているヤミーが刀を抜いた。その瞬間金属が叩き付けられる音が響く。彼に飛び掛ってきたのは日番谷だった。
「十番隊隊長日番谷冬獅郎だ!隣に居るソイツは返して貰うぞ。」
「奇遇じゃねぇか俺も10だぜ。破面No.10ヤミーだ!戻りてぇかどうかはその女に聞きな。」
「No.10……!十刃ってやつか。」
「よく知ってるじゃねぇか、随分と口の軽いヤローと戦ったらしいな。」
刀を押し合う日番谷とヤミーのすぐ側で綾瀬川と斑目、ルピが向き合う。綾瀬川達は斬魄刀を抜いているがルピはその様子も無くただ余裕気な表情を浮かべていた。
「君も…十刃か?」
「そーだよ。名前はルピ。階級はNo.6。ていうかさぁ、ホントなんだ。ゆうりが僕らの仲間になったってだけで死神たちは動揺するって。悔しい?大事なモノ盗られて。」
ルピはヤミーとの間に立つゆうりに視線を流す。そして何かを思い付いたかの様に口元に笑みを引いて彼女の腰に腕を回し引き寄せた。ゆうりはただ何も言わず驚いた顔で彼の顔を見る。
「この前叩き斬られたヤミーの腕を治したのもゆうりだったよね〜?他の十刃達とも仲良くお話ししてるじゃん。ね?」
「………。」
「否定を、しないのか…。」
冬獅郎のこんな表情を見るのは、もう何度目だろうか。静かに呟かれた言葉は悲痛の色を滲ませており、彼と目を合わすことが出来ない。
分かっていた。ゆうりが藍染から酷く執着されていたことは。破面側につく事が、本意ではない事は顔を見れば分かる。言葉など聞かずとも。それでも、またこうして敵として顔を合わせる事になってしまった事が辛く感じてしまう。
「オイオイ、いつまでもよそ見してんじゃねぇぞ!」
「!!」
持ち前の力で日番谷の刀を押し返す。すると一旦距離を取った日番谷は斬魄刀から斬撃を飛ばし、その能力でヤミーの巨体を凍らせようとする。分厚い氷の膜が体を少しずつ覆うが、彼は気にしないどころか鼻で笑う。
「ぬん!!!何だぁこりゃ!?涼しいぜえ〜〜〜!」
「……ちっ…。」