第13章 破面編(前編)
「…ねえ、そもそも何をしに現世へ行くの?こんなに十刃まで連れて。ただ脅したいだけでは無いでしょう。」
「お前が知る必要は無い。藍染様のご命令通り死神と刃を交えていればいい。」
「え〜、ボクも気になるんだけど。」
「同じことを2度も言わせるな。」
他言無用が藍染の命令なのか、ウルキオラは頑なに答えない。そもそもヤミーとグリムジョーはそんな事に興味すら無いのか関心すら示さない。
「出るぞ。」
座標を捉えたウルキオラが黒腔を開く。細い線が何も無い筈の虚無に一本引かれ、上下に割れる。その先はもう随分見ていなかった筈の青空だった。その光すら眩しく感じる程に。
「破面……!?そんな…早過ぎないかいくらなんでも…!?」
「……ゆうり…?」
「……。」
黒腔が開いた場所は、現世に緊急出撃していた日番谷達の直ぐ上だったらしい。愕然とした顔で声を上げた綾瀬川に気が付くと、ゆうりは彼らを見下ろした。視軸が絡んだ日番谷の瞳には困惑の色が見える。それも当然だ、ここ1ヶ月急に姿を消したと思えば敵と同じ衣服に身を包み現れたのだから。
再び約束を違えた後ろめたさから彼女は咄嗟に顔を背ける。
「オウ?い〜い場所に出られたじゃねぇか。なかなか霊圧の高そうなのがチョロついてやがる。手始めにあの辺からいっとくか。」
「何言ってんのアレ死神だよ。アレが6番さんが言ってた"尸魂界からの援軍"じゃないの?ね?
…ア、ごめーん。"元"6番さんだっけ。」
「あの中には居ねぇよ。俺が殺してぇヤローはな。」
「あ!!おい待てグリムジョー!!!」
ルピに煽られた彼はヤミーの静止の言葉も聞かず飛び出して行った。はためく上着から覗く腰元には焼かれたような跡がある。彼が十刃であった証が。
「あんの野郎!!」
「ほっときなよ。所詮十刃落ちさ。何も出来やしないよ。」
「ちっ…俺が殺してぇ奴もあん中にはいねぇんだがよ…。」
「キミが殺したいのってウデ斬られた奴?ボコボコにされた奴?それとも虚閃を弾き返した奴?」
「全部だよ!おい!行くぜ新入り!!いつまでボヤっとしてんだ!!」
「マー…アウーー…。」
「ちっ…また変なのが入りやがったモンだぜ…。」