第13章 破面編(前編)
女であるゆうりですら想像に容易い痛みにヒュッ、と息を飲んだ。その証拠に彼は呻き声を上げながら蹲る。
「テメェ…リリネットォ…!」
「こっ、コイツが避けたのが悪いんだろ!あたしは悪くねぇ!」
「あの…ち、治療しますか…?」
「要らねぇよ馬鹿…。」
どこかこの光景にデジャブを感じる。
…あぁ、そうだ。私が小さい頃瀞霊廷で良く見たひよ里ちゃんと真子みたいだと思ったんだ。
懐かしさと、それだけ人間らしい彼らの様子に複雑な想いで唇を噛む。
漸く落ち着きを取り戻したリリネットはスタークの隣に座る。彼も少しは話す気になったのか、身体を起こして頭を掻く。
「私は染谷ゆうり。死神だよ。よろしくねリリネットちゃん。」
「はァ!?また死神が増えたのかよ!」
「傷つけるなよ、藍染サマに怒られるからな。めんどくせぇのは御免だ。」
「ふーん、お気に入りってやつか…。」
「リリネットちゃんはスタークさんと仲がいいの?」
「あたしはスタークと2人で1人だからな。」
「2人で1人…?」
「馬鹿、余計な事言うなって。」
「いでっ!」
スタークの拳がリリネットの仮面をコン、と叩く。2人で1人とは、一体何なのか。ゆうりは瞼を伏せて2人の霊圧を探る。
異なるものに思えた。けれど、何処か深い所で確かに強い繋がりを感じる。これは…魂?
「…もしかして、魂をふたつに分けたの?凄い!そんな事出来るのね!まるで兄妹みたい!」
「…何で分かった?見た目も霊圧でも分かんねぇだろ、普通。」
「私の斬魄刀の能力は回帰能力なの。だからかな…貴方達の成り立ちというか、魂の繋がりが何となく見えたわ。言われないと気付かないくらい細くて、深い所に有るけれど。リリネットちゃんも十刃なの?」
「あたしはスタークの従属官だよ。」
「フラ…何それ?」
「聞いてないのか!?あんたなんも知らないんだな!」
「そうなの、何も知らないから聞きに来たの。」
「俺たち十刃の直属の部下だよ。」
「…なるほど。私達で言う副隊長みたいなものね。そういえば十刃ってどういう順番でつけられているの?生まれた順?」
「強さだよ!つ、よ、さ!十刃以下の数字持ちは生まれた順だけどな!」
「へぇ、スタークは何番?」
「プリメーラ……第一十刃。」