第3章 真央霊術院編
今は放課後。そして、ゆうり達が真央霊術院に入学してから5年の時が過ぎた。檜佐木は成績首位、ゆうりは2位、蟹沢も10番以内をキープし続ける事で今となっては出身のせいで突っかかられる事もすっかり無くなった。
「あと1年で卒業だね。」
「修兵はもう護廷十三隊に入隊決まってるんでしょ? 何番隊だっけ。」
「九番隊だよ。お前らはどうすんだ?」
「私達まだそれぞれの隊の特色しか聞いてないんだよ。だから私はまだ未定!」
「私は四番隊かな。ちょっとだけ回道使えるようになったけど、ちゃんと学びたいから。」
「折角戦えるようになったのに救護班行くのか?もったいねぇ。」
「戦えるようになったからだよ!戦術はここで学べても回道は学べない。私は皆を守る為に死神になりたいの。だからまずは回道を身に付ける。その後隊移動しようかな。」
「ゆうりちゃんしっかり考えてるねえ。」
5年間で剣術はもちろん白打など戦闘の上で必要な能力はできる限り伸ばした。歩法に関しても要領のいいゆうりは授業外での特訓を密かに森で続け瞬歩を身に付けることが出来た。それでも成績が2位止まりになっていたのは、飛び級制度を嫌った彼女自身が試験時必ず手を抜いていた故だった。その事に関しては2人には話しては居ない。
「あ!檜佐木くん、ゆうりちゃん。近々現世で魂葬の実習を1回生にやるって聞いた?」
「あぁ、俺と青鹿、後お前らだろ。」
「懐かしいね…私達も先輩に着いてきて貰ったっけ。」
「蟹沢が力み過ぎて魂魄が泣きながら魂葬されてたな。」
「檜佐木くん!それ1回生の前で絶対言わないでよ…!」
その時の事を思い出したのか、蟹沢は羞恥心に顔を赤らめがなった。ゆうりは時計をチラリと見やると鞄を肩にかけて椅子から立つ。
「私借りてる本返して来るね。」
「何借りてたんだ?」
「恋愛小説と、死神の歴史集。」
「また極端だな。」
「そろそろ恋愛小説読み尽くしたんじゃない?1回生の時から必ず1冊は持ってたよね?」
「うん、恋愛小説はこれが最後の1冊。お陰でちょっとは恋愛に関して分かった気がするよ。後は暫く護廷十三隊に関する書物を借りるつもり。」
「何でそんなに死神について調べてんだ?」
「修兵には話さなかったっけ?帰ってこない人をずっと待ってたって。」