第13章 破面編(前編)
「山本総隊長だ。四十六室が死んで次の四十六室が決まるまでの間決定権が総隊長に下りてきてるんだ。とりあえずお前を一番よく知ってるってことでルキアが選ばれて」
「違う!実力で選ばれたのだっ!」
「動ける戦闘要員の中で一番ルキアと近しいってことで俺が選ばれた。で、隊長格以外で俺が一番信頼できる戦闘要員を選べって言われて俺が一角さんに同行を頼んだ。そしたら弓親さんが"僕も絶対行く!"って言い出して、騒ぎを聞きつけた乱菊さんが面白そうだからって行きたがって…乱菊さんがどーしても行くって聞かないもんだから日番谷隊長が引率として仕方なく…ってかんじだな。」
「ピクニックかよ。ゆうりも総隊長命令なのか?」
「私は喜助と山本総隊長の鳩だよ。あの人の事、1番良く知ってるから。」
「なるほどな…。」
「…ともかく。てめーは確実にその藍染に目ェつけられてるって事だ黒崎一護。」
不意に聞こえてきた声に視線が上がる。窓に目を向けるといつの間に入って来たのか日番谷が窓枠に座っていた。
「あ、日番谷隊長だ。一人だけ屋根裏に入るのを断固拒否したノリの悪い日番谷隊長だ。」
「マドが開くのずっと待ってたんすか?ダメっすよ、それでなくても銀髪の小学生なんて目立つのに。」
「…てめえら尸魂界に戻ったら覚えとけよ…。破面は確かに虚の面を剥ぐことで生まれる。だがその辺の虚の面を剥いだところで大したモンはできやしねぇ。本気で尸魂界に戦争を仕掛けるつもりなら破面化の対象は自ずと大虚以上に限られる。」
「大虚…以上…?…何だよ?まるで大虚よりまだ上がいるみてえな言い方じゃねえか…。」
「そうよ。…というより、正確には大虚の中にも3つの階級があるの。1つ目は"ギリアン"。大虚の中では最下層で人間に例えると雑兵ね。数が多くて同じ姿をしているのが特徴で、雨竜と撃退していたのがこれよ。」
「…あいつが…雑兵…。」
「こいつは巨大だが動きは緩慢で知能は獣並。隊長クラスなら倒すのにそう問題は無い。問題は次からだ。2つ目は"アジューカス"。ギリアンよりもやや小さく数も少ないが知能は高く戦闘能力はギリアンの数倍。数の多いギリアンをまとめる存在だ。」
「3つ目は"ヴァストローデ"。最上級の大虚で大きさは虚としては極めて小さく人間と同程度。数は極めて少なく虚圏全域に数体しか居ないと言われているわ。」