第13章 破面編(前編)
ルキアのこんなに楽しそうな顔を見れたのは久しぶりだった。塞ぎ込みがちだった彼女がここまでのびのびしている姿をまた見れる事を友人として嬉しく思う。
「さァ、とっとと教えろよ!"破面"ってのがなんなのか!なんで俺らが狙われてんのか!」
「…待ちな。そいつは俺達が……教えてやろう。」
「ぅおおおい!?」
ガパ、と音を立てて天井の照明が取り外される。そこから顔を出したのは阿散井、松本、斑目、綾瀬川の4人だった。
1人足りぬ様子にゆうりはキョロキョロと辺りを見渡す。
「冬獅郎は…?」
「テ…テメーらどっから入って来てんだ!つーかヒトの部屋の電気に何してくれてんだコラ!!」
「電球とカケてみました♡」
「何をだ?」
青筋を立てる斑目を意に介さない様子で床に降り立った松本。そんな彼女のバストを食い入るように見詰めるコン。大きくはだけた制服から覗く胸元に、彼は再び飛び掛った。
「それは制服という名の凶器ですねおネエさーーーん!!」
松本は問答無用でコンの顔面を殴り飛ばした。撃沈した彼に斑目と阿散井は頬を引き攣らせる。そんな中、ゆうりは外で感じる霊圧にぴくりと肩を揺らしベッド脇の窓を開けた。
「…流行ってんのか?アレ…。」
「…イヤ、こいつはいつもこうだ。」
漸く話が出来る状態になると死神の面々はベッドへ座る。その人数に軋む音が聞こえたが気にせずにルキアは持参したスケッチブックを取り出した。ぱらりと1枚捲ると、おそらく彼女が描いたであろう熊の絵が出てくる。
「…"破面"は、仮面を外し虚と死神二つの力を手に入れた虚の1団だ。今まで数も少なく未完成だったが、そこに"崩玉"を持った藍染が接触することで"成体"の破面が誕生した。そいつがこないだの二体だ。」
「ここまでは分かるな?」
「ああわかる。スケッチブックが無ければもっと分かる。」
「…当初尸魂界は藍染が直接コトを起こすまでは静観するつもりだったんだ。コッチも隊長3人がイッキに抜けてバタバタしてたしな。だが予想外に早く成体が完成しそいつが現世に送り込まれたことでそうもいってられなくなった。そこで急遽選抜されたのが俺達だ。」
「選んだのは?」