第13章 破面編(前編)
ルキアが一護を連れて飛び出してから数時間、彼女の真っ直ぐな言葉に励まされたのか彼の表情は教室から出る前よりも随分とスッキリしている。
かくいうゆうり達も一護と合流するという目的を果たした今、教室に残る理由も無く彼の家へと向かっていた。元々顔見知りのルキアとゆうりは一護と共に正面から、松本たちは面白がってか一護達とは別れるフリをして屋根裏へと勝手に潜む。
「…一心さんと顔合わせたらまた別の意味で荒れるだろうし良かったかもしれないわね。」
「うちの親父がなんだって?」
「ううん、何でも無いの!」
思わずこぼれた呟きにハッとして口元を抑える。どうやら彼は自分の父親が隊長クラスの男だとは毛ほども思っていないらしい。まさか十番隊の彼らと関わりがあるだなんて、想像すらしていないだろうな…。そんな事を考えている内にクロサキ医院へと着いた。
「…ネ…ネ……ネェさーーーーん!オフン!!」
彼の部屋に入るなりいの一番に歓迎したのはライオンのぬいぐるみに義魂丸を埋め込まれた男、コンだった。現世で長くルキアと接していた為か彼女の帰還を泣いて喜び飛び付いた所、当の彼女はその顔面を足で受け止め床へ踏み付ける。
「久しぶりだなコン!」
「ああ…!ひと夏越しの再会にも関わらず一片の迷いもないこの踏みつけ…!これぞまさしくネエさん…!!オレは…オレは幸せっスネエさ……はっ!?」
ルキアに足蹴にされながらも喜びの声を上げるコンの視界に一護の後ろに立っていたゆうりの姿が入る。松本までとは言わずともその豊満な胸元と整った顔立ちに心臓が高鳴った。
あの胸元へ飛び込みたい。
その一心だけでコンは床とルキアの足の間から飛び出し今度は彼女へ飛び掛る。
「あの時のんネェさ〜〜〜〜〜オブッッ!」
「遊んでねーでさっさと入れよ。」
「うむ。この小部屋に入るのも久々だな!」
「久しぶりコンくん。元気そうでなによりね。」
すんでのところで顔面を一護に捕まれた彼は静かな怒りを覚えつつ、漸く3人は部屋へ足を踏み入れた。
「うっせーな、"小"は余計だ!白哉ん家と比べんじゃねーよ!」
「おっ、すまんな。ついうっかり。」
「何がうっかりだ……ってコラ!勝手にベッドに座んな!!」
「いいではないか心が狭いのう。」
「ふふ、2人は本当に仲良くなったわね。」
「どこが!!?」