第2章 過去編
声はとても優しく聞こえたがゆうりはあまり嬉しそうでは無かった。何処か裏がありそうに見える。ただの子供の直感かもしれないが、なるべく関わりたくないと思ってしまう。何となく居心地悪く感じてしまい腹に回される平子の手をキュッと掴んだ所、市丸がひょっこりとゆうりの顔を覗き込んだ。
「ゆうりも死神になるん?」
「え?わかんない、どうだろう…。まだ死んだばっかりだし死後の世界が有るなんて思って無かったから…。」
「ならボクの嫁さんなんてどやろ。ほら、ボク天才言われとるし将来有望やん。」
「え!?」
「随分ませたガキやなコイツ…。」
「別の意味で大物になるかもしれませんね。」
突然の予想だにしない提案にゆうりは大きな瞳をぱちくりさせ、市丸はその様子に笑う。話を聞いていた平子はひくりと頬を引き攣らせ、藍染は呆れ気味に肩を竦める。
暫し談笑を終えたゆうりは平子に連れられ十二番隊隊舎へと戻った。扉を開いた瞬間、猿柿の華麗な飛び蹴りが平子の顔面へ綺麗にヒットする。
「いつまでゆうり引っ連れてんねんハゲシンジ!!」
「痛ァッ!!何すんねんこのアホ!そもそも別にゆうりは隊士とちゃうやろが!」
「うっさいわボケ!任されとるのはウチらやぞ!!」
猿柿は平子の長い髪を手加減なく引っ張り、平子は猿柿の頬を思い切り引っ張った。まるで子供のような喧嘩っぷりにゆうりは苦笑を零す。
そこへ騒ぎを聞き付け浦原もやって来た。
「あらら…相変わらず仲良いっスねぇ。ゆうりサン、おかえりなさい。」
「…ー!ただいま、浦原さん!」
ゆうりは浦原の姿を見るなりパッと笑顔を浮かべ彼へ飛び付く。そんな彼女の頭を浦原は優しく撫でた。
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