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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第12章 五番隊隊長就任編



会計札を持った檜佐木を残して、女性陣は先に店を出る。出入口から少し外れた場所で彼の戻りを待つ間、蟹沢はゆうりの顔を覗き込む。

「どうしたの?」

「ゆうりちゃんって、本当に好きな人いないの?」

「いないよ。…いそうに見えた?」

「ウラハラさんの話してる時、すっごく楽しそうだったから。好きなのかなってちょっと思ったの。」

「好き…そうね、敬愛って意味ではもちろん大好きよ。私にとって誰にも変え難い特別な人だから。けど、恋愛的な意味でって聞かれると分からないかな。」

いつか…それこそ、この戦いが終わった後に何かしらの答えを出す必要があるのは重々承知しているが。それでも今はあまり考えたくは無かった。誰か1人に応えれば、それ以外の誰かを断る必要がある。…そう考えると気が重い。誰かの1番になる事がこんなにも頭を悩ませる事だとは思っていなかった。正直、現状のままが1番楽だとさえ思ってしまう所が、母の血を濃く受け継いでしまった所以だろうと苦笑する。
そんな事を考えていると、会計を終えた檜佐木が戻って来た。

「待たせて悪い、行くか。」

「むしろありがとうだよ。」

「今度は私たちがお礼しないとね?ほたるちゃん。」

「うん!」

「いいって、男なんだからかっこ付けさせろ。」

「修兵はかっこいいよ、ほら、顔の傷とか。」

「ッ…お前な…!唐突に人の心の傷抉って来んじゃねぇよ!」

「学生ながらに頑張った証だよ。ねー?ゆうりちゃん!」

「そうだよ〜!」

誰も死ななかったという事実のお陰もあってか、顔に出来た傷も今では遠い昔話の様に笑い話として漸く昇華出来るようになった。それは彼らにとって、とても大きな進歩となる。
それから3人は仕事に戻る為バラバラに隊舎へと戻る。ゆうりは執務室まで足を運ぶと、現世に行くまでに必要な書類の整理を行い、駐在任務の間三席に預ける仕事の内容を纏めていた。

「折角隊長代理になったのに、まさか直ぐに現世行きになるとはね…。」


ふと雛森の事を思い出す。未だ誰かに会える状態では無いらしく、あれ以来全く姿を見ていない。純粋に心配する気持ちが大きかった。彼女は藍染を心から信じ、私が喜助に対してそうであるように、敬愛していたのだ。その彼によって壊された心を治すのは、四番隊といえど容易ではない。
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