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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第12章 五番隊隊長就任編



ゆうりが死者に対して生を願う気持ちは痛いほどに分かる。俺だって、可能なのであれば草冠にもう一度会いたい。けれどそれは、草冠にとってどうだろう。ヤツは再び生き返る事を喜ぶのだろうか。…正直、分からない。

「…お前は、ゆうりは生き返ったそいつらの人生に責任を持てるのか?」

「え?」

「死んでから、もう何十年も経ってるんだぞ。周りの人間は姿こそ変わらなくても地位も、実力も伸びている奴の方が圧倒的に多い。知った顔が、まるで知らない人間になった様に感じる可能性だってある。周りも、突然生き返ったソイツらを受け入れられるのか分からねぇだろ。」

日番谷の言葉に今度はゆうりが目を見開いた。
確かに彼の言う通りだ。生き返った事が原因で、気味悪がられたり周囲に馴染めなくなってしまったりした時、自分は何が出来るのかが分からない。深く傷付けてしまうかもしれない。そう考えると、自然に斬魄刀から手が遠のく。

「…そうね。多分その時私は何も出来ないと思う。もっと早く力が使えるようになっていれば良かったのにね。」

「自分を責めるなよ。どうにもならなかった事だ。」

「…えぇ。もうひとつ聞いてもいい?冬獅郎。」

「どうした?」

「彼らは日が経ちすぎてしまったから諦めがつくけれど…もし、この先の戦争で冬獅郎が死ぬ事になったら…私は多分キミを諦められない。冬獅郎だけじゃない、乱菊さんも、白哉も、ルキアも…一護や喜助達も皆。」

「お前らしいな…。」

「そうなった時…私が冬獅郎に生きて欲しいと願ったら、貴方は応えてくれる?」

我ながら狡い質問だと思った。隊長であり、桃を含めて護りたい人が多い彼が、優しい冬獅郎が生き返るのが嫌だと言うとは思っていない。それでも私は言葉が欲しかったのだ。私の力を肯定してくれる言葉が。
その全てが表情に出ていたのだろう。日番谷は顬に青筋を浮かべるなり、彼女の掛衿を掴むと、力任せに引き寄せ額同士を思い切り衝突させた。

「痛ッ〜〜!?」

「ッ…好きな女に生きて欲しいって言われて、断れるわけねェだろ馬鹿野郎。」

「ご、ごめん…!」

まさか暴力的な手段で咎められるとは思ってもいなかったゆうりはジンジンと痛む額を掌で擦る。日番谷はそんな彼女をよそに話を続けた。
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