第12章 五番隊隊長就任編
「どうもこうも、忙しいよ!隊長がこんなに忙しいなんて思わなかった!喜助も大変だったのね。」
「あはは、そりゃあもう、やる事は沢山有りますからねぇ!…五番隊は副隊長サンが大変な目にあったんでしたっけ。」
「…うん。何より精神的なショックが大きかったのね。気持ちは分かるわ、私だって喜助や真子が裏切った上に自分を殺しに掛かって来たら気が狂うもの。」
「それはボクだって同じ…というより誰しも同じ筈なんスよ。心から信じていた人から殺意を向けられて耐えられる人間なんでそうはいませんから。」
「…そうよね。回復にはまだまだ時間が掛かると思うわ。でも、桃が復帰出来ない代わりに三席の子が頑張ってくれてるよ。お陰でこうして現世に来る事も出来たし。それより…こっちに来てから気になってたことがあるんだけど、一護の霊圧、随分不安定じゃない?何かあった?」
ゆうりが伺い立てる様に尋ねると浦原の表情が一瞬にして陰りを見せた。その顔から察するに、何かがあるのは容易に想像がつく。
浦原は悩んだ。彼女に何処まで伝えるべきか…そもそも、こちらに戻る間で、何が起こったのかを知っているのだろうか。おそらく、何も知らないだろう。そんな考えが表に出ていたのか、目の前の彼女は不満そうに眉を顰める。
「…ちょっと、また何か隠そうとしてる?」
「とんでもない!いやね、どこから話せば良いのやらと思いまして。…そうですねぇ……まずは…黒崎一心サンが、死神の力を取り戻しました。」
「!一心さんが?でも、どうして?」
「それが正に黒崎サンの中にある虚が大きくなって来たのが原因なんスよ。彼の中で深く眠り続けていた虚が、死神になった事を切っ掛けに力を強め…ついには表に出て来てしまった。もう一心さんの霊圧だけでは、抑え切れない所まで来てしまってるんス。だからほら、気付いているでしょ?平子サンがこの空座町に来ているのを。」
一護の中に有る虚が力を増している。しかも表に出て来ている…きっと、死神化する時に見たものがそうだったのだろう。
ゆうりは顎に手を添え首を捻る。虚が表に出て来た、ということはつまり彼は虚化してしまうのでは無いかと、と。
「…真子は一護を仲間として引き入れるつもり?」