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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第12章 五番隊隊長就任編



キッパリと言い返される言葉に口を噤む。自分にも責があると思うと怒るに怒れない。
急に黙り込むゆうりに、阿近は目を細め更に顔を寄せる。潤んだ翡翠色の瞳が宝石の如く美しい。

「…やっぱ、今のお前の方が良いな。」

「…はい?」

「ちいせぇのも悪くないけど、俺が知ってるゆうりの方が好きだわ。」

「な、何言ってるの…?」

「別に、独り言。これに懲りたらもう無理すんじゃねぇぞ。それと、今日の事はなるべく全員忘れる様に手は打ってやるから今日はここで休め。」

「うわっ。」

大きな手が乱雑に頭を撫でた。阿近は矢継ぎ早に用件だけ言い切ると、話はここまでだとばかりに背を向けてしまう。
ゆうりはそそくさと逃げてしまう彼の服を咄嗟に掴む。

「あの!」

「…どうした?」

「気遣ってくれてありがとう。もう無理はしないし、ちゃんと休むわ。それから…」

言い淀む姿に彼は黙って続きを待ち瞬きを繰り返す。彼女は意を決する様に静かな呼吸を繰り返し最後に大きく酸素を吸い込んだ。

「私は昔の阿近も今の阿近も好きよ!」

「…はは、そりゃどーも。」

コイツの言う好き、とは俺の思う好きとは決定的に違う。それを分かっていても想わずには居られないのだ。いつか本気で告白したらゆうりはどんな顔して答えるだろうか。笑うか、申し訳なさそうな顔をするか、困るか…。願わくば同じ気持ちだと答えればいい。
そんな訪れるのかも分からない未来に想いを馳せては、鼻を鳴らして己を笑い、研究室へと戻るのだった。


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