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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第12章 五番隊隊長就任編



「失礼します…阿近居ますか?」

「お久しぶりですゆうりさ…うわっ、顔色悪い!大丈夫ですか!?お菓子食べますか…?」

「はは…リンくんだよね。気遣いありがとう。」

「わ…っ、え…えへへ…。」

十二番隊隊舎。この隊の者以外あまり人の寄り付かない場所にゆうりは訪れていた。彼女の存在にいち早く気付いた壺府は直ぐに駆け寄ったが、最後に見た時より余程窶れた様子に目を見開く。ゆうりは空笑いを零し壺府の頭を軽く撫でると彼は照れ臭そうにはにかんだ。

「阿近さーん!ゆうりさんが来てますよー!」

「おー、今行く。」

壺府が片手を口元に充てて軽く首を捻り部屋の奥へ大声を上げると、気だるげな返事が聞こえて来る。程なくして扉から顔を出した阿近は煙草を咥えたまま壺府同様、彼女の疲れ切った顔を見て俄に双眼を見開き後頭部を掻く。

「…オイオイ、隊長が何今にもぶっ倒れそうな顔してんだ。」

「隊長の仕事って中々慣れなくて…阿近に疲労回復の薬作ってもらおうと思って来たんだけど。」

「お前俺を何でも屋と勘違いしてねぇか?つーか、そういうのはウチじゃなくて四番隊だろ。」

「ちゃんと休めって卯ノ花隊長に門前払いを喰らいました…。」

ゆうりは眉尻を下げ、バツの悪そうな笑みを浮かべた。阿近は煙草の煙と共に深々と溜息を零し携帯灰皿へ火を押し潰すと、懐に仕舞うなり彼女の手首を掴む。心做しか以前よりも細く感じて思わず眉をひそめた。

「…着いて来い。」

「ん…?どこ行くの?」

「お前が好きな所。」

好きな所…?
思い当たる場所が直ぐに出て来ず睫毛を瞬かせる。彼に手を引かれるがまま向かった先は、十二番隊の庭がよく見える縁側だった。

「あぁ、確かにここは好きだよ。…けどどうして?」

「どうもこうもねぇよ、お前ここで少し休んで行け。」

「でも…」

「でもじゃねぇ。他の隊長見てみろよ、そんな窶れた顔で仕事してる人なんて居ないだろうが。」

「だけど私もはまだ隊長になって日も浅いか……わぁ!」

言葉を遮るようにして阿近はどさりとその場に座り、ゆうりの腕を引っ張った。突如下から強引に上体を引き寄せられた彼女は床に膝を着く。それを見計らってか、彼は手首を掴んでいた手を離し代わりに反対側の肩をガっと掴み半ば強制的に頭を己の太腿の上へと乗せた。
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