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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第12章 五番隊隊長就任編



「ダメ、限界もう眠すぎ…。」

「風邪引くだろ、起きろって!」

「無理…明日…明日はちゃんと布団で寝るから…。」

「…まさか普段から布団敷く前に力尽きてんじゃねぇだろうな。」

「………ぐぅ。」

「狸寝入りしてんじゃねぇ。」

「いたた、いひゃひ…。」

態とらしいいびきに檜佐木はゆうりの両頬を抓った。忙しそうにしていると噂ばかりは聞いていたがまさか、布団で寝てる余裕すらない程身をすり減らして働いているとは思いもしなかった。
真面目というか、自分に無頓着というか。まぁゆうりらしといやらしいが。それにしても。悪酔している彼女はどうにもタチが悪い。普段は絶対にして来ない様な甘え方をして来るのだから。
彼は深く溜息を吐き出し死覇装を握る手を外し立ち上がった。勝手に押し入れの襖を開き中から布団を飛び出し黙々と畳の上に敷く。

「ほら、布団敷いたからこっちで寝ろ。」

「動けない…。」

「ったく…!」

突っ伏したまま駄々を捏ねるゆうりの横へしゃがみこみ華奢な体躯を抱き上げた。彼女はへらりと頬を緩める。

「優しい。」

「惚れた弱みだよ。」

布団の上へ身体を降ろす。相変わらず彼女の瞼は降りたままだった。
ゆうりがこれ程まで人を頼る事はあまり無い…と思う。どことなく特別感に何となくニヤけてしまいそうだ。このまま目を閉じたままで居て欲しい。

「明日寝坊するなよ。おやすみ。」

「ん…ありがと…修兵も遅れないようにね。また明日。」

綺麗な銀糸に指を通し、1度だけそっと撫でた。細く柔らかい髪はとても触り心地がいい。
床に手のひらをついて立ち上がる。願わくば、彼女が二度とこの地を去る必要が無くなりますように。そんな想いを胸に抱き彼は己の隊舎へ踵を返すのだった。


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