第12章 五番隊隊長就任編
「初日から時間ギリギリとはまた、そんな所まで浦原くんに似るとはねぇ。似合ってるじゃないの、ソレ。」
「複雑な気分ですねぇ…ありがとうございます、京楽隊長。」
「では話の続きを始めるぞい。先ず過去に起きた死神殺しの事件。これについて本人から話して貰おう。」
「え!?あっ、はい。」
山本から話すかと思いきや突如振られたゆうりは頓狂な声を上げるが直ぐにピシッと背を張った。
「…順を追って説明した方が良さそうですね。私は、藍染達が瀞霊廷にとって反逆者である事を事件が起こるより前…六番隊に所属している頃から知っていました。」
「なんだって?それはボクも初耳だなぁ。」
「京楽さんにも、誰にも相談しませんでしたから。彼らの裏切りを知った切っ掛けは…くろ…いえ、志波一心隊長が消息不明になる数日前、彼が無断出撃で空座町に向かったのを総隊長は覚えてらっしゃいますでしょうか?」
「うむ、その時に既に黒い虚に関する報告は受けておったの。」
「私もその日、後から空座町へ向かったんです。その時、虚と戦う志波一心隊長と…私が先日着ていた霊圧を遮断させる外套と全く同じものを身に纏う藍染、東仙、市丸の3人と遭遇しました。彼らは虚では無く一心さんに攻撃し、私にも手出しをするなと刃を向けて牽制して来ました。」
「それはおかしいネ。あの外套は浦原喜助がつくった物だろう。どうして藍染達が持っているのだヨ。」
「過去に起きた魂魄消失案件。既に察しがついていらっしゃるかとは思いますが事件は藍染達が引き起こしたものです。浦原喜助は猿柿ひよ里達を助けるべく、私が死神になる前瀞霊廷を発つ時使ったものと同じ外套を使用し、秘密裏に握菱テッサイと現場へ向かったそうです。これは、現世に留まっている時に本人から事件の真相と共に聞きました。その際外套を見た藍染が真似て作られたのだと思います。」
平子達が現世で未だ生存していることは言えない。だからこそ巧みに嘘を混じえながら矛盾の起こらない様慎重に説明をする。彼女の言葉に違和感を覚える者は居ないようで、ゆうりは更に言葉を続けた。
「それ以降、彼らとは水面下で敵対する事になりました。…そして私はあの日、先に向かった部下達を助けるべく1人で現場へと向かいました。報告されていた人の形をした黒い虚…それが藍染の遣わせた虚だと知っていたから。」