第11章 尸魂界潜入編
「良いじゃない、きっとビックリするわ。それじゃあ、そろそろ行くね。……一護達にお礼と、お別れをしないと。」
「……ありがとな。」
「ふふ、どういたしまして!それじゃあおやすみ、冬獅郎。」
「おやすみ。」
ヒラリと手を振って室内を出た。窓から見える空は既に日が落ちており真っ暗だ。霊圧を探るとどうやら一護、石田、井上、佐渡、そして四楓院は四番隊内にある一つの部屋に集まっている様に感じる。
もう現世に戻る事は出来ない…それをこれから伝えなければならないと思うと少し気が重いが、明日戻ってしまう彼らには言わなけれならない。もちろん寂しさを感じるが元々生きる世界が違うのだ。こうして少しの間でも友として関われたことを喜ぶべきかもしれない。
そんなことを考えている内に部屋に辿り着く。スライド式の扉を開き中を見るとそれぞれの寝台に座りながら雑談していたらしいが、ゆうりが顔を出した瞬間視線が一気に集まる。
「ゆうりちゃん!」
「無事だったんだね!全然来ないから心配していたんだよ。」
「ごめんね、総隊長に呼ばれてて直ぐに合流出来なくて。一護はもう大丈夫なの?」
「あぁ、井上が治してくれたんだ。お陰でこの通りだぜ。」
何処も不調がない事を見せつけようと肩をグルグル回す一護を見て身体の力が抜けた。双殛の丘に着いた時、彼は身体を半分斬られていたのだ。それにも関わらず半日少しでこの回復力は井上の助けがあったといえど、とてつもない生命力に尊敬する。
四楓院は猫の姿のまま、井上のベッドから降りるとゆうりの元へ足音も無く歩み寄った。
「…総隊長の用件は何じゃ。」
「五番隊の隊長を暫く務めて欲しいって言われました。」
「えっ……。」
「矢張りそうか…。」
膝を曲げ四楓院の前足の下に手を差し込み抱き上げながら、隠すこと無く淡々と答えた。彼女はどうやら予想していたらしいが、井上や石田、佐渡は目を見開く。
「染谷は此処に残るという事か…?」
「うん。元々一護には話していたんだ。私この戦いが終わったら瀞霊廷に残るつもりだって。まぁ、隊長代理をやらされるとは思ってなかったけど…五番隊は今隊長、副隊長を同時に失ってしまって大変だから。断る気は無いの。」
「……やっぱり君は隊長クラスの実力を有していたのか…。」