第11章 尸魂界潜入編
「頼み…ですか…?」
「お主には暫くの間五番隊隊長代理の任に就いて貰いたいのじゃ。」
ゆうりは目を見開いた。
自分が隊長…?それも、藍染が率いていた五番隊で…?
元々五番隊は藍染に憧れを抱き入隊して来た者も多い。そんな隊士達を引っ張るのかと思うと直ぐに縦に首を振れなかった。彼らにかける言葉が見つからない。
「あの…私…」
「五番隊は隊長が欠け、副隊長は重症。何より精神的ショックが酷くての。直ぐに復帰するのはまず無理と見ておる。その間、五番隊は誰も率いる者がおらぬでな。今この瀞霊廷内で隊長に推薦出来るのはお主の他に居らぬのじゃ。」
「う……。」
確かに隊の情勢を考えると五番隊は誰かしら引っ張っていく者が必要だろう。本来死神は三席と副隊長では力にとても大きな差がある。それが唯一無いのがゆうり、たった一人だ。
「…元々、疑いが晴れたら死神として復帰したいとは思っていました。けれど、それは一隊士としてであって、自分が隊長になるなんて考えても無かったんです。だから…少し時間を下さい。」
「良かろう。では明日の正午迄に決めい。」
「……わかりました。それでは失礼致します。」
多分、私に拒否権は無いであろう事は薄々分かっている。だから少しでも決意を固める時間が欲しかった。数年この地を離れていた私にはあまりにも荷が重い。
立ち上がり、隊舎を出る。殆どの霊圧は四番隊へ集中しているのが分かった。様子を見に行くつもりでそちらへ足を向けようとした途端、二人の男が現れる。綺麗な真っ白の髪をした男と、派手な女羽織を掛けた男。
「浮竹隊長!京楽隊長!」
「やっ、ちゃんと顔を合わせるのは本当に久しぶりだねぇ。元気そうで何よりだ。」
「四番隊に向かうのだろう?一緒に行こう。」
「はい、もちろん!」
ゆうりは二人に挟まれゆっくりとした足取りで歩いた。よく見ると彼らも怪我を負ったらしくこめかみにガーゼが貼られている。
「山じいに呼ばれたんでしょ。どっかの隊長やってくれ、って?」
「うわっ、その通りです。よく分かりましたね…。」
「このタイミングで君が呼ばれる理由なんて想像に容易いよ。…それに、無意識かもしれないが藍染と戦っている時の霊圧は当然俺達の元にも届いて来た。」
「本当に強くなったもんだねぇ。昔はこーんな小さかったのに。」