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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第11章 尸魂界潜入編



「染谷ゆうり!」

「はっ…はいっ!」

戦いが終わってすぐの事だった。山本に呼ばれたゆうりは肩を跳ね上げさせ振り返る。嫌な予感がした。数十年連絡も取らず、最終的に旅禍としてこの地に戻って来たのだから当然といえば当然だ。何を言われるかわかったものでは無い。
周囲が傷付いた死神達の手当や移動に勤しむ中、彼女だけは総隊長に連れられ一番隊に備えられた隊首会室へと通された。山本は杖に手を置き部屋の中央に立ち、ゆうりは目の前に正座をして縮こまる。

「さて……聞かねばならぬ事が山程あるのう。」

「な、なんでもお答え致します…。どうぞお手柔らかに…。」

「ではまず過去の事件から洗おうとするかの。お主の見た事実を述べよ。」

「はい……私は確かに部下である死神を殺しました。それは間違いありません。ですが、あの時現れた虚は藍染が使役していたもので、尚且つ彼はその場に居ました。私も、部下達も彼の鏡花水月によって互いを虚と認知させられた結果、私は彼らを殺し…現世へと逃げ果せたんです。それからは現世の浦原喜助の元でお世話になっていました。このレコーダーを聴いてもらえれば、わかって頂けるかと。作ったのは阿近です。」

「うむ……。」

懐から取り出したのは事件の起こる数日前、阿近に頼み作らせたボイスレコーダーだった。いつか使える日が来ると信じずっと保管をしていたのだ。再生ボタンから音声を流すと、あの日の会話が鮮明に思い浮かべられる程しっかりと録音されてる。山本はそれをただ静かに聞いていた。

「…藍染、市丸、東仙の裏切りはいつから知っておった?」

「……六番隊に所属していた頃から。」

「何故誰にも言わなんだ…。」

「私はただの四席でした。隊長三人が裏切ろうとしている事を話した所でどちらを信じるかは火を見るより明らかです。それに…相談すればその人を巻き込む事になります。だから出来ませんでした。」

「成程のう。」

沈黙が続いた。彼女の言うことが嘘だとは思えない。元々の性分から考えても仲間を殺すような死神とは、もとより思ってなどいなかった。山本は長い髭を左手で撫でる。そしてゆっくりと口を開く。

「…ここへ呼んだのにはもう一つ理由があっての。儂から一つ頼みが有る。」

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