第11章 尸魂界潜入編
「南の心臓 北の瞳 西の指先 東の踵 風持ちて集い 雨払いて散れ 縛道の五十六 "掴趾追雀"!!…64、…83、…97。転移先を捕捉しました!東三百三十二!北千五百六十六!………双殛です…!」
「…解りました。では直ぐに全ての隊長・副隊長の位置を捜索・捕捉して伝信して下さい。私達がここで知った藍染惣右介の全てとその行き先を。…そして同じ伝信を…あの旅禍たちにもね。」
「…わかりました!」
「…頼みましたよ。」
「あ…ちょっと待って下さい!」
解放された卯ノ花の斬魄刀、肉雫唼が雛森を飲み込んだ。続いて日番谷を呑み込もうとした直前ゆうりはそれを止めて彼の元に膝を着いた。真っ白な肌は氷のように冷たい。
勇音は縛道の七十七、天挺空羅を使い指示通り隊長・副隊長・一護達に先刻のことを伝えた。おそらく今頃各所で混乱を招いている頃だ。…これ以上好きにはさせられない。
左手の薬指に嵌めていた指輪を抜き取り、日番谷の右手小指にそっと通してから立ち上がった。
「…卯ノ花隊長、冬獅郎と桃のことをよろしくお願いします。」
「……えぇ。気を付けて下さい。 」
真っ黒の外套を掴みバサリと脱ぎ去る。中に着ていた浦原の所持するものと同じ羽織りがふわりと靡いた。一度静かに瞼を降ろすと、今まで指輪が抑え込んでいた霊圧が爆発的に解放され、彼女から溢れ出る。
それは既に隊長格と変わらず、寧ろ凌駕さえしそうな勢いに卯ノ花すら息を飲んだ。
ゆうりは振り返り2人へ向けて笑う。
「それでは、行ってきます。」
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