第3章 真央霊術院編
「…わぁ、凄いねコレ。」
「……手紙?」
朝、真央霊術院に登校したゆうりは下駄箱を開きバサバサと音を立てて落ちてきた封筒の束に眉を寄せ、蟹沢は口元に手を宛てて驚いた。
「恋文じゃないかな?」
「私まだろくに人の顔も名前も覚えてないんだけどな…。」
ゆうりは落ちた手紙を拾い上げとりあえず鞄の中へ仕舞う。下駄箱に残っている束も取り出してから同じように入れて上履きへ履き替える。
「ゆうりちゃん美人だもんね。」
「ありがとう。ほたるちゃんは可愛いよ!」
2人は話しながらクラスへと向かう。教室に入り定められた机に鞄を置いて、必要な教科書を用意し終えた後既に登校していた檜佐木の元へ集まった。
「おはよう、修兵!」
「おはよー。」
「おう、おはようゆうり、蟹沢。」
「修兵今日授業終わった後暇?」
「ん?あぁ、まぁ時間ならあるけど…。」
「じゃあ一緒にお買い物行こうよ!着物とか、全然無いでしょ?昨日ゆうりちゃんと話してて良ければ檜佐木くんもどうかなって。」
「確かに寝巻きとかねぇしな…良いぜ、俺も行く。」
「やった!瀞霊廷で買い物するの初めて!約束忘れないでよね、修兵。」
「んな直ぐに忘れねーよ。」
約束を取り決めた3人は始業のチャイムでそれぞれの席に着いた。授業は前期の内は殆どが座学であり、虚に関する授業等死神ならではの内容から、現世でも習うような数学等も幅広く教えられる。
午前が終わり昼休みに入った頃、食堂へ向かおうと立ち上がったゆうりの所に数人の男子生徒が集まった。
「染谷さん、俺の手紙読んでくれましたか!?」
「良ければお昼一緒にどう?俺奢るからさ!」
「え…えっと…ごめんなさい、手紙はまだ読めてません。ご飯も、ほたるちゃん達と行くから…。」
勢い良く詰め寄られゆうりはたじろぐ。しかしそれでも男達は引かなかった。1人の男が彼女の手を取り見詰めてくる。
「あの檜佐木って男とは付き合って無いんですよね?それなら僕とどうですか?」
「いや、あの私そもそも貴方の名前も知りません…。」
「おいおい…大人気かよ。」
「檜佐木くんと付き合ってないって分かったからかなぁ?」