第3章 真央霊術院編
「まぁ嘘言ってる様にも見えねぇし、総隊長には伝えておくよ。」
「ありがとうございます、先生。もう寮に戻って大丈夫ですか?」
「おう。時間取らせて悪かったな。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。」
椅子を引き立ち上がったゆうりは彼へ頭を下げ教室を出た。もっと面倒な疑いを掛けられることを懸念していたがそんなことも無く、事なきを得たゆうりは息をついて寮へと向かう。
指定された女子寮の部屋へ辿り着いたが、誰と相部屋になったのかまでは見ていなかったゆうりはドキドキしながら深く深呼吸して扉を開く。
「し、失礼します…。」
「おかえりー!」
「あれ!?ほたるちゃん?」
「うん!一緒の部屋だよ。しかも2人!」
「わぁ…よかった!」
部屋で先に待っていたのは蟹沢だった。既に見知っている相手であった為安心して部屋に入る。室内は和室で、冷蔵庫や電子レンジ、ちゃぶ台等生活に必要なものはある程度揃っているようだ。布団も2組押し入れに入っている。
「ねぇ、ゆうりちゃんは環の貸出制度申請してる?」
「してるよ。ほたるちゃんは?」
「私も!明日学校終わったら一緒にお買い物行かない?着物とかも買わないといけないし!」
「良いね、行きたい!」
「檜佐木くんも誘ってみる?」
「そうだね、修兵も制度の申請はしてたみたいだし誘ってみようか。」
「楽しみだね!」
「うん!」
ささやかな約束。それがただ嬉しくてゆうりは表情を緩め蟹沢も同じように笑った。
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