第10章 尸魂界突入編
死神達に動揺が走る中、遂に砲弾が遮魂膜を突破した。それと同時に膜は溶けるようにして消滅し、一護達の体は落下もせずその場に留まる。
「ど…どうなってるんだこりゃ!?どうにかシールド通り抜けたは良いけど…なんで俺達地面に落ちねぇんだ!?」
「離れるなっ!今はシールドにぶつかった砲弾が溶けて、一時的に儂らに搦みついておるだけじゃ!じき渦を巻き破裂して消滅する!その時に離れておったら衝撃で皆バラバラに飛ばされる…」
四楓院の言葉を皮切りに、浮いていた身体は突如台風の渦の中へ巻き込まれたのかと錯覚する程強い勢いで振り回された。
「なっ…!」
「…始まったぞ!」
「う…ぉぉぉッ!?クソがァ!飛ばされてたまるかよッ!」
「おわーーッ!?」
「よけろテメー!」
「こっち来んなー!!」
「何してるんだ君たちは!?」
一人で飛ばされまいと岩鷲は渦の中を泳ぎ一番近くに居た一護の元まで辿り着く。そんな彼を一護は迷惑そうにあしらった。ゆうりはすぐ横の四楓院へ手を伸ばし、彼女を肩へと乗せる。
「それぞれ近くにおる奴を掴め!絶対に離れるなよ!」
「くそっ!」
「何がクソだコラァ!!」
「わぁっ!?」
「石田っ!」
一護と岩鷲がいがみながら掴み合い、茶渡は井上の腹に腕を回し抱え、一人飛ばされそうになっている石田へ手を伸ばした。しかしそれよりも先に、急速に勢いを増した渦に攫われ彼の身体は外へと弾き出されていく。
「…わ…ッ」
「…く…!」
「茶渡くんっ!?」
「チャド!」
「!茶渡く…わぁあああぁあッ!?」
茶渡は井上の身体を渦の中心に投げ込み、代わりに自分が石田の元へと向かう。右手で彼の真っ白な服の胸倉を掴み、力任せに井上の元へとブン投げた。完全に外に投げ出されてしまった彼を助けられる者は居らず、茶渡は孤立したまま瀞霊廷のどこかへと飛んで行く。
「……!」
「案ずるな!奴なら必ず生き延びる!!それよりも!下で奴を捜したくば、まず自分達の無事を考えろ!!」
「くそっ…!井上!!ゆうり!!」
「黒崎くん!!」
「一護!」