第10章 尸魂界突入編
3人はそれぞれ手を伸ばす。
けれど、その手が届くことは叶わず触れる直前で三方向へバラバラに飛ばされてしまった。
更木は、四つに別れて瀞霊廷各所へ飛んで行く光の跡を見詰めた。どんな奴が、どこに向かっているのか。どれが一番強いヤツなのか。考えただけでゾクゾクする。
「どいつだ…!?一番強ぇのはどいつなんだ…!?」
1人と1匹で飛ばされてしまったゆうりは着地に向けて地を見下ろした。霊圧を遮断させる外套のフードを深く被り、静かに四楓院へ声を掛ける。
「…合流しますか?それとも…」
「……いいや、儂らは個に行動しよう。彼奴らも弱くは無い。おぬしは何処へゆく?」
「まずは書庫へ向かいます。調べたい事が有るので。」
「そうか。儂も色々と取りにゆかねばならんものがある。くれぐれも、死ぬなよ。」
「はい、夜一さんも。」
着地地点に誰も居ないことを確認すると、掌を向け霊力を集中させて放った。衝撃で落下の速度を緩めてから瀞霊廷へ降り立ち、誰かが駆け付けてくる前に外套へ鬼道を練り込み姿を晦ます。四楓院はゆうりの肩から屋根へ飛び移り彼女自身の目的地へ向けて走り出した。残されたゆうりも、誰も居ない瀞霊廷に些か懐かしさを感じつつ、目的を果たすためその場を後にするのだった。
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