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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第10章 尸魂界突入編



「し、失礼します。」

先刻までの暴力的な姿を見てきたせいか些か緊張した面持ちで彼女の隣に座る。空鶴は徳利の首を持ち、用意されていたお猪口へ波々と酒を注ぎゆうりへ渡す。

「おまえの話は兄貴から聞いてたんだよ。バカ高い霊力を持ったガキが死神になったって。嫁連れて来た時と同じくらい嬉しそうな顔で言ってやがった。キレーな顔してるのに、鈍いし、人たらしで面白いってさ。」

「えぇ…!海燕さんがそんな事を…。」

「一度顔見てみてェと思ってたんだ。こんな所で会うとは思ってもみなかったけどな。」

「あはは…私も会えると思っていませんでした。海燕さんから、お話は聞いていましたが住んでいる場所までは聞いてなかったので。」

「そもそもおれは直ぐ住む場所変えるからな!……で、おまえがわざわざおれに会いに来た理由は?」

それまで豪快に笑っていた空鶴の表情が一瞬にして引き締まった。本音を見透かしそうな真っ直ぐな瞳に、言葉が詰まる。ゆうりは手に持った酒を口に運び、一気に飲み干し気持ちを落ち着けてから唇を開く。

「…これから私達が助けに行くのは、海燕さんを殺した死神です。」

「!!…黙ってりゃ、知る事もねェ事をなんでわざわざおれに言った。」

「この事実を知っているのは、今ここに来ているメンバーの中で私だけです。私は……知ってるのに、何も言わないまま助けて下さいなんて言えない。」

「……。」

「私は海燕さんを助ける事が出来ませんでした。今でも彼の事は忘れられませんし、悔やんでも…悔やみ切れなくて……。」

「おまえは兄貴とは別の隊だったんだろ。死神の事情なんざ知りやしねぇが、隊が違えば仕事場だって違う。それくらいは分かる。だからおまえに謝られるのはお門違いってヤツだ。」

「他隊だろうが、同じ死神である限り仲間に違いは有りません。だから私は家族である貴方に謝る義務があると思っているんです。本当に申し訳有りませんでした。」

「…真面目な奴。」

ばっ、と勢いよく頭を下げた彼女に空鶴は片肘を膝につき、ため息を吐いた。その上でゆうりは更に姿勢を低くすると両手を床に添え頭をつける。

「ルキアは…私達にとってかけがえのない友達なんです。こんな事をお願いできる立場では無いと分かっています。それでも…頼れるのは空鶴さんしか居ません。どうか、お力を貸して下さい。」
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