第10章 尸魂界突入編
「お…おう!オッケーねえちゃん!」
空鶴は地上へ繋がる階段のある襖とは別の襖に手を掛けた。外からは、男の声が聞こえて来るがどこかその声に聞き覚えが有る一護は顔を歪める。
襖が思い切り開かれると、そこには満面の笑みで正座する男が1人。
「は…初めまして!志波岩鷲と申します!以後、お見知りおきを!」
「………。」
紛れもなく昨日一護と揉めた男だった。だいぶ印象が違って見えるが、その姿忘れたくとも忘れられない。一護と岩鷲は目が合うとお互い固まった。
「「あああ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」」
「…何だ?知り合いかお前ら?」
突如大声を上げた彼らに空鶴が目を丸める。
岩鷲と一護は睨み合い、昨日の続きだとばかりに再び取っ組み合いが始まった。襖は壊れ、畳はボロボロになり、それでも彼等の喧嘩は終わらない。ゆうり達は遠くからその光景を見ているだけだった。空鶴も、特に何も言わず見ていた。…が、床に置かれた煙管を岩鷲の足が踏み付けバキリと音を立て折れる。その瞬間、ピキっ、と青筋を立てた彼女は片手に拳を作り2人の頭を拳と踵で思い切り殴り付けた。
「辞めねぇかッ!!!!」
「うわ…痛そう…。」
容赦も遠慮も無い一撃に彼等は床に伏せた。頭からは煙が上がっている。相当強い力で殴られたのだろう。井上達は顔を青ざめさせたじろぐ。
「何なんだテメーら!?カオ合わせるなりイキナリ殴り合い始めやがって!!」
「ッて〜〜〜…なんだよ…一言も無しにいきなり蹴りかよ…姉弟そろって…」
「だ…だってよ姉ちゃん!あいつが…」
「口ごたえすんな!」
「ぎゃうっ!」
泣きながら訴える岩鷲の頭へ無慈悲に蹴りを入れる。本当に血が繋がっているのか疑わしい行為を目の当たりにした一護は全身から冷や汗が吹き出すのを自分でも感じた。空鶴はドスドス音を立て一護の元へ歩み寄り、片手で頭を掴む。
「おいクソガキ!ここはおれの家だ。おれのやり方に文句があるなら出ていきな!」
「…す…すいませんでした…。」
「オーケ、わかりゃァいいんだ。」
素直に謝罪の言葉を述べた事で第二撃を回避した一護は床を這いつくばって岩鷲の元へ寄るとコソコソと声を掛けた。
「…オマエの姉ちゃんこええな…。」
「…だろ……。」
「よーーし!!全員立て!」
「はっ…はい!」
「立ったら…黙っておれに着いてこい!」