第3章 真央霊術院編
トレーを取り、ひたすら提供され続ける米と汁物、焼き魚、サラダとちょっとした果物を自分で取り適当に空いていた4人席へ座る。
「檜佐木くんもゆうりちゃんも流魂街出身なんだ。私もだよ。」
「特進クラスは特に貴族が多いらしいな。流魂街から来るやつは肩身狭いって聞いたぜ。」
「差別ね…。貴族ってどうやって決められてるのかな?」
「死神同士の結婚とかすると霊力の高い子供が生まれるみたいだから、そうやって発展してった人達なんじゃないかな?」
「羨ましい限りだぜ…俺達が流魂街でどんだけ苦労するかも知らねぇくせに。」
「貴族にもいい人は居るよ。私に霊圧制御の仕方教えてくれたのは貴族の人だった。」
「瀞霊廷に居た時か?」
「あれ?ゆうりちゃんは流魂街出身じゃないの?」
「そうなんだけど、一時期死神の隊長さんにお世話になってた時があったの。その時に知り合ったんだ。」
「隊長さんに?凄いねぇ。」
「ゆうりは色々変な所多いぜ。もう浅打じゃなくて斬魄刀になってるし。鬼道は殆ど完璧だし。」
「浅打貰ったの昨日だよね!?教科書はまだ貰ってもないよ!?」
「もう、変って言わないで!」
頬を膨らませ怒るゆうりに檜佐木は笑う。食事を進める中で檜佐木や蟹沢と交わす会話はとても楽しいと思えた。何より、死んでから同年代の人と話す事が殆ど無かった為余計だ。
「鬼道はね、ここを卒業した人から教本を貰ったの。もうボロボロになっちゃったんだけど…内容変わってたりするかなぁ?」
「鬼道は基本的に変わらねーだろ。決まったものしか無いしな。」
「そうだねー。…あ、そろそろ戻らないと!」
「本当だ。行こっか!」
トレーや食器を定められた場所へと戻す。昼食を終え、午後は言われた通り教科書の配布となった。配られる本の量は少なく、鬼道の教科書に関しては市丸から受け取ったものと全く同じだ。教師の指示で各本の裏表紙へ名前を書く。
「今日はこれで終わりな。明日から早速授業始めるから遅れるなよ。寮の振り分けはさっき配った紙通りだ。じゃあ解散。」
浅田の一言で生徒達はパラパラと寮に向かい始めたり、自宅に帰り始めたりする最中、ゆうりは慌てて椅子から立ち上がり浅田の後を追い掛ける。
「先生、ご用とは一体…?」
「おう、とりあえず使ってねぇ教室入るか。」