第3章 真央霊術院編
「えー…まずは入学おめでとう。担任の浅田だ。この特進クラスは他のクラスと違ってより高等な技や知識を扱う。怠ければクラスから落ちることも有るから、日々の勉強を怠らないように。この後10分休憩挟んだ後カリキュラムの配布と説明、各教科書を渡すからなー。」
教師は真っ黒な髪にタレ目で、四角く細いフレームの眼鏡を掛けており年齢は30代前後に見える男だった。彼は必要事項を淡々と告げる。生徒は人によってはしっかりとメモを取る者とそうでない人とで分かれた。ホームルームの様なものを終え、浅田が教室を後にしようとした直前、思い出したかのように扉の前で足を止める。
「あ、そうだ。染谷は居るか?染谷ゆうりー。」
「はい!」
「教科書の配布が終わったら話があるから、後で俺の所に来いよ。」
「分かりました。」
入学して早々名指しでの呼び出しにゆうりへの注目は更に高まった。再び休憩時間になると檜佐木は真っ先に彼女の元へ向かう。
「お前何やらかしたんだ?」
「やらかしてないよ、失礼な!…多分、斬魄刀の事じゃないかな。入学式に渡されるけど、私持ってるからって浅打返しちゃったの。多分その事だと思う。」
「なるほどな…。」
「ねぇ、2人って付き合ってるの?」
檜佐木達が話していると不意に知らぬ女の子がひょっこりと顔を覗かせた。ゆうりと檜佐木は彼女の突拍子のない質問に顔を見合わせ、ゆうりはあっけからんと笑い檜佐木は頬を朱に染める。噂されるだけならまだ優越感で終わったが、実際彼女のいる目の前でそれを聞かれるのは恥ずかしい。
「いえ、友達ですよ。ね、修兵?」
「うっ…ま…まぁな…。」
「そうなんだ!なんか皆気になってたみたいだから聞いちゃった。私蟹沢ほたる!敬語も要らないし、ほたるでいいよ。」
「私は染谷ゆうりです。よろしくねほたるちゃん。」
「檜佐木修兵。よろしくな。」
「二人ともよろしく!」
蟹沢と名乗った彼女はとても明るく、気さくで話しやすかった。3人で話していると、院内にチャイムが鳴り響く。席に着き戻ってきた浅田の話は先程のホームルームと比べてとても長かった。カリキュラムの説明と、飛び級制度、死神になる上の心構え、そんな話が延々と続き午前を終える。
昼休みに入ると3人は院内の食堂へ向かう。