第10章 尸魂界突入編
「多分ってなんだ多分って!!わかってるのか!?」
既に確固たる信頼関係を結んでいるらしい茶渡はどうやら彼を信じる事に決めたらしい。うって変わり石田は確信のない言葉に苛立ちを隠さず壁を叩いた。
「大丈夫だよ雨竜。一護に稽古をつけたのはうちの店主だから。彼、隊長と同格だもの。」
「そーそー。当初の予定じゃ俺は10日フルに使って死神の力を取り戻す事になってた。だけど実際それは5日で片付いた。それじゃあとの5日間、俺は一体何をしていたのか?」
「…な…何をしてたんだ…?」
「戦ってたんだよ!5日間昼も夜もぶっ通しで!あのゲタ帽子と一対一でな!」
「そ…そうか!そこで戦闘の極意を教わっ…」
「いーや。」
「え…?」
「あの人は何も教えちゃくれなかったさ。けど…スタミナと度胸だけは…嫌でもついたぜ!」
一護は背中に背負っていた斬魄刀を右手に握り降ろした。ゆうりは地を蹴り岩壁の更に上まで飛び上がって彼らを見詰める。霊力の差は圧倒的だった。どう考えても、一護の方が高いのに何をそんなに不安げになのかが分からない。回復に関しても井上が居るし、自分も居るのだから。
「話はすんだだか…?」
「別に?元々待っててくれなんて頼んだ憶えはねぇけどな!」
「…やっぱすお前も田舎モンだな。礼儀ってもんがなっちゃねえ。待っでもらっだら…ありがとだべ!!!」
振り上げられた斧が一護に向けて下ろされた。凄まじい風圧が岩壁の外まで届く。ゆうりはフードの端を摘みながら砂埃から目を守る様に掌で顔を隠す。
斧は確実に一護を捉えたはずだった。けれど、彼は傷一つ作らず斧よりもずっと小さい斬魄刀一本、しかも片腕で受け止めたのだ。
兕丹坊は暫し呆気にとられたが直ぐに大声を上げて笑う。その笑い声1つが彼の巨体ではまるでメガホンでも使ったかの様に大きい。
それから彼の怒涛の攻撃は続いた。何度も斧が振り下ろされ、地面へ叩き付けるられる度岩を飛ばす。軈て片腕を大きく後ろに引いたかと思うと、思い切り横に薙ぐ。
とてつもない怪力で払われた斧は、井上たちを阻む岩壁ごと吹き飛ばした。
勝った、そう思い口角を上げ砂埃の中を見詰める兕丹坊の表情がみるみると驚きのものに変わる。
「……!…な……な…なんでお前え…なんでまだ立っでられるだ…?」
「た…立ってる…黒崎が立ってるぞ…!」