第10章 尸魂界突入編
5人の視線が集まると、浦原は笑顔で持っていた扇子をパチンと閉じた。すると何も無い空間が縦に裂け、真っ黒い霧の様なものが溢れ出る。刹那、たくさんの札が貼り付けられた四角柱が4本現れ、ガコン、と互いにぶつかり合う事で大きく四角い門が出来上がった。
「……!」
「さ、これが尸魂界へ続く門…穿界門。よーーく聞いといて下さいね。これから教えるのはこの門を死なずに通り抜ける方法っス。さてと、まずは……ゆうり。黒崎サンを出して下さい♡」
「はーい!」
「え、な…何…」
「大人しくしててね。」
ゆうりは以前ルキアが一護の魂を抜き取る際装着していた甲側に髑髏の描かれた赤いグローブを嵌めると、彼の顎を目掛け思い切り背後へ押し出す。肉体から魂を引き剥がされた彼は平然としているが、義魂丸の入っていない器子はだらりと岩に凭れたまま動かなくなった。
「「「おーーー!!」」」
「綺麗に抜けるもんだなあ。」
「ねぇねぇこっちの黒崎くんにはもう黒崎くんは入っていないの?」
「当たり前だろ。ヒトを金太郎あめみたいに言うなよ。てかオマエらなんで勝手にヒトの身体触ってんだよ。」
「あれ…染谷さんも死神姿だろう?体は無いのかい?」
「私の身体は元々義骸っていうただの器だから無理にどうこうする必要は無いんだけど…店の手伝いが有るから、義魂丸っていう別の魂を入れてあるの。多分今頃寝てるんじゃないかな?」
「コンみたいなものか…。」
「コン…?」
「俺の事です!あの時の美しいお姉さーーん♡」
「おわぁ!!!」
「うわっ、ぬいぐるみ!?」
突如一護の肩から顔を出したライオンのぬいぐるみにゆうりだけでなく一護、そして井上と石田までもが驚いた。彼は一護の肩を蹴りゆうりの胸元目掛けダイブする。彼女は反射的に彼を受け止めるとたいそう驚いた顔でコンの両脇に手を差し込み持ち上げた。
「もしかしてあの時の改造魂魄!?すごーい、ぬいぐるみに入れても動くのね!」
「会いたかったですお姉様!!是非一護の身体でもう一度俺を抱き締め………ギャアアアアアア!!!」
後ろからガシリと頭を掴まれたコンはそのままゆうりの手を抜け茶渡に渡される。何の因縁があったのか、茶渡はコンの顔を見て嬉しそうにしているが彼は涙を流し怯えている様子だった。