第10章 尸魂界突入編
「言っただろう。僕はあの死神たちに負けた自分が許せないから修行をするって。言ったからには勝つまでやるよ。その為だったらどこへでも行くさ。」
「…石田くん…ありがとう!」
「…だ…だから違…っ、朽木さんとか関係なくてっ…なんで伝わんないかなコレ!?」
「素直じゃないね、雨竜。」
「君も僕の話聞いてたのかい!?はぁ…ついでだからキミにも見せてやるよ黒崎!僕がどれだけ強くなったのかをね!」
「石田…おまえ…その変な服でここまで歩いて来たのか?度胸あんなー…」
「へ…変な服って言うなっ!!」
「緊張感無いなぁ…。」
これから何千人と居る敵陣の中にたった5人で向かうというのにこの学校に居る時とまるで変わらない緩さは一体何なのだろうか。
漸くメンバーが揃った所で、カランコロンと下駄が鳴る。商店の中から姿を見せたのは浦原だ。
「おーーっ!全員揃ってるっスね。結構結構♡さてと、そんじゃ中で説明しましょかね。尸魂界へ行く方法。ちゃんと聞いといて下さいよォ。でないと…むこうに着く前に死ぬ事になる。」
「そ…そんな行くのが難しい場所なの…?」
「本来死神は地獄蝶っていう蝶々に導かれて尸魂界と現世を安全に行き来するの。蝶が居ない条件で尸魂界に行くのは私も初めてだから、話は聞いているけど実際どうなるのか分からないなぁ。」
浦原の背を追い、店の中に作られた地下、所謂一護の勉強部屋へと降りた。初めて地下を目の当たりにする井上は目を輝かせ両手を合わせる。
「すごーーい!あの店の地下にこんなでっかい空間があるなんて!かっこいい!秘密基地みたい!!」
「そうか?」
「…す…素晴らしいリアクション…!このテッサイいたく感激致しました…!」
「えへへー♪どうもどうも!」
一護がここへ初めて来た時、殆どリアクションは無かった。ゆうりに至っても、平子達と再会した際既に似たような場所を見てきた為特に反応は無かった。だからこそ井上のリアクションは新鮮かつ握菱が求めていたそのものであり、彼は井上の手を両手で握り嬉しそうに涙を流す。
コミュニケーション能力の高い井上と打って変わり、自分と同様にたいしたリアクションを示さない石田と茶渡を一護はチラリと見遣った。
「む!なんだその目は?黒崎!」
「ハイハイみなサーーン!こっちにちゅうもーーーく♡いきますよーーー♡」