第10章 尸魂界突入編
ついに現世を発つ日が来た。浦原は既に一護たちへ招集を掛けているようでゆうりは商店の外で人が揃うのを待っていた。既に死神化した彼女は死覇装の上に、霊圧を遮断する外套を羽織っている。
1番初めに姿を現したのは茶渡だった。
「こんばんは、チャド。修行はどうだった?」
「厶……夜一さんは、厳しかったが教え方が上手かった…。問題なく戦える筈だ。」
「それは良かったわ。」
妙に落ち着いて見えるのは自信をつけたからか、それとも彼の性質故かはいまいち判断しがたかったがゆうりは静かに笑みを浮かべた。
それから程なくして、一護と井上が走って商店へと向かってくる。急いでいたのか2人とも息を切らしていた。
「…オス。」
「…は…早いね…茶渡くん…。ゆうりちゃん、久しぶり!」
「久しぶり、織姫!」
「ああ…眠れなくて…散歩してたらたまたまこの近くで召集受けたんだ…。」
「?この近く?」
茶渡が親指で道を示すとそこには真っ赤な文字で"これから直ぐに浦原商店に集合"と書かれていた。一護たちの家に突然飛んで来た球も同じ文字を紡いでいたらしい。それでも道幅いっぱいに書かれたダイイングメッセージの様なそれに些か引いた。
「…そういや石田は?あいつも来るってきいてたんだけど…。」
「あ…石田くんならきっともう少し…」
「…あいつなら来ない。」
「茶渡くん!」
「いいんだ井上…石田は…あいつは来ない方がいいのかもしれない。あいつは俺たちの中でなんというか…1番複雑だ。そして複雑なもの程得てして脆く出来ている。そういうものだ。」
「雨竜は来るよ。」
「ゆうり?」
「確かに雨竜の境遇は複雑かもしれないけど彼はそんなに弱い魂をしていないし、そもそも霊圧がこっちに向かって来てるから。」
「全く…霊圧を探知出来るのが僕と染谷さんだけとは、随分不安の残るメンバーだね。」
「ーー石田…!」
ゆうりの言う通り、石田が現れた。彼は死神と対称的に真っ白な衣装に身を包んでいる。きっとこれが滅却師の礼装のようなものなのだろう。そして表情から察するに修行をしっかりと終えて来たらしい。不安など一欠片も感じなかった。