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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



ぶわっ、と砂埃が散っていく。その中で姿を表したのは死覇装に身を包み、尚且つ顔を仮面に覆われたおそらく一護と思われる男だった。彼は何も言わずただ立ち続ける。虚だった場合、彼を処分しなければならない事から酷く緊迫した空気が一帯を包む。
男がうっそりとした動作で右腕を持ち上げる。その手は背中に携えた斬魄刀の柄を掴んだ。ウルルとジン太が反射的に戦闘態勢に入る。

「舐めんな!来んなら来いよ!さっさと…」

「大丈夫だよジン太、ウルル。落ち着いて。」

「だって…!!!」

鞘から引き抜かれた斬魄刀は白哉との戦闘で折られたままだった。殆ど根元しか残っていないそれを振り上げ、徐に柄頭を己の仮面の口元へぶつける。砕かれたそれがパラパラと零れ落ちていくと、男は顔に残った仮面をグッと掴みこめかみの上へ引き上げた。

「……あ…」

「ふぅっ!」

「……虚になったんじゃ、無かったのか…。」

「一護!!」

「うぉあ!?」

一護は死神になった己の感触を確かめるように片手を開閉させる。ゆうりは浦原の腕をすり抜け飛び出し、まだ少し呆けたままの彼へ思い切り飛び付いた。突然の事に反応が遅れた一護は、勢い余ってその場へ倒れる。尻を打った痛みに顔を顰めるが、それよりも力任せに抱き着いてくるゆうりに目を見開き言葉を探して唇をはくはくと動かした。ム、ムネが…ムネが当たる…!!

「良かった!殺されちゃったかと思った…!!」

「ルキアを助ける前に、こんな所で死んでたまるかよ。…ありがとな。」

「オメデトさーーーん♪キッチリ死神に戻れたじゃないスか!お見事!レッスン2クリアっス!!」

「やかましい!」

「目が痛い!!」

ぱちぱちと拍手し、笑いながらしゃがみ込んで来る浦原に一護は青筋を浮かべ、自分の仮面を割った時と同じ要領で柄頭を思い切り浦原の両目へ叩き付けた。ゴスッ、と鈍い音が響きゆうりは思わず頬が引き攣る。
予期せぬ攻撃に浦原は両目を抑え蹲る中逆に一護は立ち上がり、レッスン1から散策痛ぶってきた彼へ恨みの篭った眼差しを向けて腕を組む。

「フフ…俺が生きて戻ったのがてめーの運の尽きだぜ…俺は誓ったんだ!生きて穴から出たら必ず!!てめーを!!ブッ殺す!!!」
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