• テキストサイズ

【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



一護が勉強会のために浦原商店へ来てから数日が経過した。今はどうやら肉体から魂を引っこ抜かれた状態で深く深く掘られた穴の下へ落とされ、握菱に両手を封じられたまま地上へ這い出てくるように言われたらしい。
因果の鎖が断ち切られている為、長さが胸に到達したらその時点で彼は虚化し私達は一護を殺さ無ければならない。…というのはまぁ、彼を追い詰める為の脅しで実際は救済措置が有るのだが。
虚になるまで、猶予はおおよそ3日。そして今日は3日目である。早ければ夕方辺りに、虚化が始まる。そんな窮地でも彼が死神化し、這い上がって来る様子は見られない。ゆうりはその期間、浦原の研究室の中でひたすらに本を読み漁っていた。

「一護、大丈夫かな。もう3日目なのに…。」

「おーい、ゆうり居るんだろ!?地下行こうぜ!」

「ジン太?」

扉の外から呼び掛ける声を聞いて襖を開ける。彼は大皿に沢山のフルーツを乗せて持っていた。スイカ、リンゴ、バナナにオレンジ…一体何に使うのか分からず首を傾げる。

「なにこれ?」

「あのオレンジ色に持ってくんだよ。そろそろ腹減り出してもおかしくねー時間だろ?」

「そっか…侵食が進むとお腹空いちゃうんだっけ。」

「そーそ、ゆうりも来いよ。どうなるか分かったもんじゃねーしな。」

「…そうね、行きましょうか。」

パタン、と読んでいた本を閉じて、死神化してから地下へ向かう。穴の底を覗くと握菱が一護に縛道を掛けており、彼は垂直の壁を死神化もせず駆け上がろうとしていた。あまりに無謀な行為に苦笑すると、隣に立っていたジン太が大皿を持ったまま飛び降りる。

「食いもん持ってきてやったぜ。そろそろハラ減る頃だと思ってよ…。」

「ハ…何言ってんだ減ってたまるかよ…よく見ろよ、因果の鎖だって結構残ってんだぜ…。」

「…まぁ、とりあえずメシはここに置いとくぜ。……この穴ん中じゃ時間わかんねぇのも仕方ねぇしな。」

「…時間…?」

「いーこと2つ教えといてやるよ。あんたが"絶望の縦穴"に入ってからちょうど70時間が経った。早いヤツならそろそろ虚になる頃だ。それともう1つ。最後の"侵食"の規模は今までの比じゃねーぜ!」

「!!ぜ……全部の鎖が…!?」
/ 648ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp